【インタビュー】音楽では食えない――メンバー脱退直前、神聖かまってちゃんが語った「現実」 - ライブドアニュース
やっぱり、音楽で生計を立てるのは難しい。
それをシンプルに感じるニュースです。
ミュージシャン自体は時代のせいにしてはいけないのかもしれませんが、実際に時代のせいにもしたくなります。
記事中に「10年前だったら10倍売れていた」というところがありますが、本当にそうだと思います。
最近の音楽は面白くない、だから売れないんだ、なんてことを何の根拠もなく言う人がいますが、全体の推移をみるとそれは正しくない。
全員まとめて一気に面白くない音楽を始めるわけがない。
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ちょっと違った味方をすると、脱退の理由が第二子が生まれたことによる経済的なもの、というところは、新鮮です。
一昔前だったら、ミュージシャンがバンドを解散したり脱退したりするのに、こういう生活感があふれた理由はそぐわなかったと思います。
たとえそれが本当の理由だったとしても、隠さなくてはいけない空気があったのではないでしょうか。
それは、「ミュージシャンは庶民から離れた存在である」という捉え方を、ミュージシャンもファンも共有していたからだと思います。
SNS等の普及で、その距離が近くなったのは間違いありません。
Twitterで買い物をしているところをつぶやくという、庶民でもやっていることをミュージシャンも同じようにやって公開しています。
テレビでもコンサートでも、何万人といるファンの一人とミュージシャンという関係だったのが、Twitterで見る限り仮想的に1対1と感じられる。
それは、心の距離感をぐっと縮めてくれます。
庶民とはかけ離れたミュージシャンの存在。
身近な存在でもあるミュージシャン。
それが共存しているのが現代だと思います。
そんなミュージシャンが、子供が生まれたこと、経済的に苦しいことを理由に脱退するのは、一定数の庶民には受け入れられる理由なんだと思います。
卵が先か、ニワトリが先か、みたいな話になりますが、こうなってくるとますます音楽業界にはお金がなくなると思います。
これまでたった一度のコンサートにCD数枚分のお金をかけて参加していたのは、それが非日常だからではないでしょうか。
大きなステージ、数えきれない照明、計算しつくされた演出、お金のかかった音響、それから庶民からかけはなれた存在であるミュージシャン。
そこには、多少高くてもお金を払う価値がしっかりと詰まっていました。
世の中の不況で、エンターテイメントにお金を払う人がただでさえ減ってきているなか、決して庶民からかけ離れた存在でなくなってきたミュージシャンに、どれだけの人がどれだけのお金を払えるのでしょうか。
それにも増して、サブスクの普及でいつでもどこでもどんな音楽でも聞けるようになった時代です。
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音楽はなくなりません。絶対になくなりません。
ただ、音楽ビジネスは相当に厳しい時代に差し掛かっています。
これは批判することなんかではなく、気候変動とかと同じ単なる現象です。
人が止められるものでもない。
それをしっかり受け止めて今後はやっていかないといけません。
少しさみしいですけど、そんな時代です。