今回は、マスタリングについて説明します。
目次
マスタリングとは
マスタリングは、音源制作過程の最後です。
ミックスの記事で説明したEQ、コンプレッサーと、そのレシオが1:∞であるリミッター。
マスタリングではこれらを使って音を決めていきます。
基本的には音を大きくするのが目的ですが、他にもいくつか目的があります。
各曲の音量調整
複数曲をあつめてアルバムを作る場合、そのアルバムに入っている曲ごとに音量が違ったら変ですよね。
だから、バラードも激しいアップテンポの曲も、リスナーが音量固定で聴いてちょうどよいようになるように、各曲全体の音量を調整します。
PQ打ち
CDを持っている人は、1曲目の最後あたりから2曲目の最初あたりまでを通して聞いてみましょう。
1曲目が終わってしばらくして2曲目が始まりますよね。
この「しばらく」の時間って、実は調整しているんです。
すぐに始まるものもあれば、しばらく間があるものもあります。
ミリ秒単位で決めていきます。
この曲間を決めるのがPQ打ちです。
CDを作らない場合
最近は、配信のみで盤(CD)はつくらない、というケースも増えました。
その場合、各曲の音量調整やPQ打ちはやらないこともあります。
CDを作らなかったら、こういうところでも作業がスリム化されます。
マスタリングは、2mixの状態から始める
DAWソフトのマスタートラックにプラグインエフェクトを挿してマスタリングをすることもあるとは思いますが、プロ用の音源制作ではそういったことはしません。
ミックス作業が終わったらそれを2mixにし、そのファイルをマスタリング用のソフトに取り込んで行います。
マスタリングは、いまだに実機を使うことが多い
DAWではMIDI音源にしてもエフェクトにしても、ソフトとして使うことが多い。
一方、マスタリングは今でも実機を使うことが多い印象です。
ただ、実機はソフトに比べて高額だし、メンテナンスも大変です。
個人ユーザーが持つにはちょっとハードルが高いかもしれません。
ですので、個人でマスタリングをしようとしたら、マスタートラックにエフェクトを挿して行う簡易的なマスタリングにするか、ファイルをマスタリングスタジオに投げて依頼することが多いですね。
最終的にCDにする場合は、すべての曲を一つのwavにしたもので音量調整やPQ打ちをしたあとに、DDP2という形式のアーカイブをつくリます。
DDP2を出せるDAWソフトは、いまのところStudio Oneのみで、それ以外のDAWソフトを使っている場合は、別にマスタリング用のソフトを購入する必要があります。
あとがき
CDから配信やサブスクに移行するにつれて、マスタリングの存在意義は少し薄れてきたかな、と思います。
しかし、盤をつくるときには必ず必要になってくる作業なので、知識として蓄えておきましょう。