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今から30年以上前の、1981年の本。
古すぎますか?
でも、今読んでも考えさせられる本です。
内容はさておき、さすが記者だけあって、文章がとても読みやすいので、スイスイと読みすすめられますよ。
内容は、日本人新聞記者が、戦時下のベトナムで出会った女性と結婚し、日本で暮らし始めたときの話です。
こう書くと、なにやら重たい話なのか、と思いがちですが、軽妙な筆致なため、あまり重たさは感じません。
そもそも、主眼が「戦争」ではなく「ベトナム人」です。
国際結婚でベトナム人と日本人の違いが浮き彫りになるのは今更言うことでもありませんが、欧米と比べて、より「根源的な」違いがあるようですね。
その「根源的な」違いの一つが、食料です。
気候に恵まれているベトナムは、食料に困ることがほとんどないそうすね。
戦争や貧困と聞くと、どうしても食料不足を勝手に連想してしまいますが、食料が豊富な国ではそうでもないそうです。
ベトナム人は勤勉だから「コメを育てる」という。
同じ瑞穂の国でも隣のカンボジアでは「コメが育つのを眺める」、
ラオスに行くと「コメが育つ音を聞く」だけで暮らしていける
「鳴かぬなら・・・」で有名なほととぎす川柳に通ずるような、うまい言い回しですよね。
食料が豊富だと、価値観そのものが変わる、というところが面白い。
美徳もまた生きるための便法なのではないか。
働かなくても食える境遇の中では、労働は美徳ではなくなる。
怠惰は悪徳ではなくなる。
節約、進取、協調、団結、向上などといった概念への評価も当然、変ってくるだろう。
資源に乏しく、かつ戦後焼け野原だらけだった日本だから、労働、節約、進取、協調、団結、向上を美徳とし、怠惰を悪徳としたのも頷けます。
逆に言えば、その価値観や美徳は、時代や環境によって醸成されたものであって、世界で見る「普遍的な」価値観、美徳とは違うのだ、ということもよく知っておかなくてはいけませんね。
実はまだ途中です。
今日あたりに読み終わるかも。