音楽における「リズム」って、どれくらい大切だと思いますか?
私はPOPS、ROCK、JAZZといったジャンルに関わっていることもあって、演奏においては「リズムこそが最も重要な要素」だと感じています。
いや、もしかするとジャンルに関係なく、リズムは常に音楽の核なのかもしれません。
誤解を恐れずに言うなら──
ミストーン(音を外すこと)よりも、リズムがズレることの方が罪が重い。
そんなふうにすら思っています。
すると、たまにこんな反論をいただきます。
「リズムがピッタリであればあるほど良いのなら、打ち込みが最強じゃないか?」
その気持ち、よくわかります。
でも、ちょっと待ってください。
私は生演奏が大好きです。
だから「打ち込みの方が良い」なんて、これっぽっちも思っていません。
人間が、打ち込みと寸分の狂いもなく演奏することは不可能です。
だからこそ、ほんの少しズレている演奏の方が、逆に魅力的に聴こえることがある。
その通りなんです。
少しズレている方が、人間らしくて良い。
でもここがポイント。
その「ズレ」は、ただ適当に演奏した結果のものではありません。
「究極までピッタリに合わせようとした結果」生まれるズレなんです。
このレベルのズレは、もはや「ズレ」とは呼ばれません。
「グルーヴ」や「ノリ」──といった、音楽にとってポジティブな言葉で語られます。
だから、演奏者が「多少ズレてる方が味があって良いよね」と思う必要はありません。
演奏者は、あくまで「できる限り正確にリズムを刻もう」とする。
それでも完全には合わない。だからこそ、そこに人間味や表情が生まれる。
それが、生演奏の魅力であり、音楽の奥深さだと思うのです。