20代の頃、1年強海外で生活をしていた。
こう書くと少し聞こえも良いが、特に何をしていたわけでもない。
海外に行ったきっかけは、今考えてみても不純なものだった。
大学を出る時期になり、周りが就職活動でそわそわしているなか、自分はなぜか全く就職に興味が持てずに、大学出たら何しようかな、と漠然と考えていた。
いざ大学を出てもやはりやることもない。
当時はニートという言葉も無いし、無職という言葉の響きも今よりよくなかった記憶がある。簡単にいえば、フラフラしてる若者、といった感じ。
大学生という、ある意味最強の立場から、一気に社会に役に立たない立場になった気がした。いや、気がしたというより、そう思われていた。
それでは癪なので、やはり何かしようと思い立ったのが海外での生活だ。
「海外に行くために日本ではあえて就職しなかった」
と言った方が、何も考えずに生きているより聞こえが、まあ幾分良い。
つまり、世間体を中途半端に考えたのだ。
しかし、どういった理由にせよ、海外に行ってある程度の時間生活したのは、非常に大きな経験になった。その後の人生を大きく変えたと言っても良い。
海外で学んだことを全て書くことは出来ないが、一番思うのは、
「海外で日本を学んだ」
ということ。
よく日本人は「水と安全はタダだとおもっている」
と揶揄されるが、これは海外にいけば結構リアルに感じる。
他にも、礼儀作法やおもてなし、時間通りに来る電車など、どこかできいたことある日本の特徴を身をもって感じることができる。それはもちろん素晴らしいことだ。
海外がダメで日本が素晴らしいと言っているわけではない。
世界にはいろんな国があり、その数以上の価値観もたくさんあり、日本はそのほんの一国にすぎない、ということを体感するのは、その後のモノの見方に大きく影響する。
そして、日本に生まれたのに日本っぽいことが肌に合わないという人も、世界をみれば、多種多様な文化が存在していることを知れば、そこに行って生活するという選択肢もある。
海外留学が、英語を習得するためとか、外国人の友達を作るため、という理由でも構わない。でも、そこで実際に学んで来ることは、生き方の選択肢が爆発的に増える、ということの方が大きいはず。そうでない人もいるとは思うが。
何かに影響を柔軟に受けるには、若ければ若いほど良い(もちろん若くなくてもよい)。
特に目的が無くとも、もしフリーターをしている若者がいれば、ぜひ海外生活を考えてみてはいかがでだろうか。
行って生活する(もちろんそのために働く)だけでも結構面白い。
言葉なんて、正直どうにでもなるものだ、意外と。