不景気も手伝って、自己啓発本の売れ行きは結構良いらしい。
本屋さんの平積みには、その類の本が結構多く並ぶ。
本の内容は玉石混交だが、個々人にそういった向上心が芽生えるのは良いことだろう。
さて、向上心を持つきっかけとなるのは、ある成功者のことが多々ある。
現パナソニックの創始者、松下幸之助や、ソフトバンクの孫正義、京セラ創始者の稲盛和夫などに強く影響を受け、「自分もやってやるぞ」となるのだ。
そして、そういった人たちのやったことを真似る。
ここまでは良いが、真似の仕方がポイントだ。
真似の「深さ」ともいうべきかもしれない。
前回の内容
これに応じて、音楽にたとえてみる。
あるギタリストが、エリック・クラプトンに憧れてギターを始めた。
日々の練習の結果、クラプトンの曲はほぼ全部マスターし、ピッキングニュアンスやダイナミクスまで再現できるようになったとしよう。
これで、彼はクラプトンにたどり着いたと言えるのか。
答えはNOだ。
では、なぜクラプトンの様に弾けるのに、クラプトンに辿りつけないのか。
それは、クラプトンの真似の仕方が浅いからだ。
クラプトンのようになりたかったら、クラプトンのギターだけでなく、生き方を真似なければならない。
たとえ音楽に限ったとしても、クラプトンのギター上達の過程を真似なければならない。
要するに、クラプトンは、クラプトンをコピーして、クラプトンになったのではないのだ。
では、何に影響を受けたのかというと、、、これは正確に把握するのは不可能だろう。
ここまでくると、真似の仕方も変わる。
クラプトンのある曲のフレーズをコピーしたら、アンテナさえ張っていれば、これはあのギタリストに影響を受けたな、とわかるかもしれない(わからないかもしれない)。
すると、予想でそのギタリストのギターを研究してみる。そしてコピーする。それを続けた結果本人に残ったものは、コピーとはもう呼ばない。オリジナルだ。
そもそも、クラプトンになるのは、違う人間なので無理だ。
しかし、それでも近づきたいのなら、クラプトンのような「オリジナリティーがある」という部分を真似る必要がある。
憧れる人物になりたくても、その人物の書いた本や経歴、実績を見ているだけでは、到底たどり着かない。なぜなら、その人達は、自分自身をコピーしたわけではないからだ。
つまり、どんな環境に身を置き、何に影響を受けてそのようになれたのかを「自分で」研究することが肝要だ。そして、研究対象は複数あればあるほど良い。
その結果辿り着いた生き方は、間違いなくオリジナルと呼んで良い。
冒頭にあげたすぐれた成功者の方々は、すぐれた成功者にも関わらず各々のやり方、考え方がちがうというところが非常に面白い。
それは間違いなく、自身の頭で考えた結果だ。
だれか1人を完全コピーして辿り着いたものでは決して無い。