日々じゃーなる

日々の生活でおもったことをなんとなく、でも結構まじめに綴るブログです。 趣味は読書とビリヤード。仕事は音楽関係。

ボーカルについて

歌ものの楽曲の場合、ボーカルの重要度は楽器とは比べ物になりません。 ギターのピックアップがぁ・・・ ベースのDIがぁ・・・ バスドラの抜けがぁ・・・ そいうのが大事ではない、ということではありませんが、ボーカルの重要度に比べたら霞みます。

なぜか。 それは、人が何を優先的に聞いているか、を考えればわかります。

たとえとして、私も大好きなサザンオールスターズを考えてみます。 あれだけのモンスターバンドなので、ファンの数も相当なものです。

そのファンのなかで、サザンのギター、ベース、ドラム、その他のメンバーや演奏している内容を覚えている人、どれくらいいると思いますか? メンバーは言える人はいるかもしれませんが、演奏内容を記憶している人はほぼいません。 サザンファンでなくても、名曲TSUNAMIは誰でも知っているでしょうけど、そのベースラインは覚えていますか?

じゃあ、何を聞いているのか、というと歌詞であり、メロディーであり、声を聞いています。 思い出してみてください。ちゃんと口ずさめるでしょう? 完璧でなくとも、ベースラインよりは覚えていると思います。 そして、歌詞、メロディー、声は全部ボーカルが司るものです。

楽器隊だって大切ですよ。 実際に、覚えてないとはいえ、楽器隊が演奏していなかったり(つまりアカペラになったり)、間違えまくっていたりしたら違和感があるでしょう。 ただ、楽曲作品として成立している場合、人は無意識に聞く優先度を決めているのです。 それには個人差がありますが、ほとんどの場合は、ボーカルに集中している、ということです。

なぜボーカルが人の耳に優先的に届くのか。 それは、体自体から発音するということも去ることながら、声それ自体がすでに個性的だからです。

楽器だって楽器によっても弾き方に寄っても音は変わります。 そこで個性を発揮することもできます。 しかし、声のバリエーションはそれどころではありません。 楽器で個性を出すのにはトレーニングなり工夫なりが必要かもしれませんが、声は出すだけで個性バリバリです。 好き嫌いは別で、唯一無二のもの、ということだけは保証されています。

だからなのか、ボーカルは習う前のほうが良かった、というボーカリストに結構会います。 楽器の場合は、習いに行ってうまくならない人はいても、下手になる人はあまり見たことがありません。 しかし、ボーカルは習う前のほうが良かった、ということが多々あるのです。

なぜか。 だって、声自体が個性的なのに、その歌い方、発声方法をなにかによせていく、というレクチャーをしてしまうからです。 もちろん、最低限のスキルは必要です。音程、リズムなどは最低限のスキル、と言ってよいでしょう。

しかし、それ以上のテクニックは、せっかく持っている声という個性を見えにくくさせる可能性がある、ということです。

ボーカルを習う人は、うまい歌と良い歌の間にかなりの差があるということを認識しておいたほうがよいでしょう。 楽器にもそういう側面はありますが、ボーカルはより明確です。

そして、歌がうまくなる方法は習えたとしても、歌がよくなる方法は習えない、ということはわかっていてください。

だって、良さって基準がないでしょう?