もちろん虚構新聞なので嘘なのだが、この虚構新聞、嘘とはいえ、たまに興味深い嘘を記事にする。
今回とりあげた記事も、そういった意味では興味深い。
なぜ興味深いかといえば、少なくともそれは絶対にない、というレベルはクリアしていると思うからだ。
そのくらい人工知能の進化は目覚ましい。
人工知能と心
https://www6.nhk.or.jp/special/sp/detail/index.html?aid=20160515
録画していたものを先日見たが、驚きの連続だった。
今回取り上げた虚構新聞の記事元になった、囲碁の世界チャンピオンとアルファ碁の闘い、4勝1敗でアルファ碁の勝利という結果はニュースで知っていたが、その内容を深く見てはいなかった。
NHKスペシャルでは、そのへんも詳しく説明されていて、非常に面白かった。
アルファ碁とは違うが、その回のNHKスペシャルで特に面白いと思ったのは、人工知能の「心」について。
同じような人工知能を搭載した2台(人?)のロボットの片方に、積み木(積み木ではないが、同じようなもの)を高く積んでもらう。それをもう一方のロボットはじっと観察している。
積み木を積み上げたロボットは、積み木を積んだ状態のまま、その場を去る。
そこで人間が、観察していた方のロボットに「積み木を壊せ」と指示する。
すると、このロボット、「せっかく積み木を頑張って積んでくれたのだから、壊したらかわいそう」と言って、指示を拒否するのだ。最後まで泣き声をあげて拒み続けた。
これを心と言わずして何と呼べばよいのかわからない。
これ以外にも、心をもたせた人工知能の紹介がいくつかあり、どれも衝撃的な内容だった。
しかし、疑問が残る。
なぜ人工知能に「心」を持たせるに至ったのか。
当然、人工知能には、人間がわざと心を持たせたのだ。
それにも開発者の答えがあった。
自分も含めて、今これを読んでいるほとんどの人が生きている間に迎えるだろうシンギュラリティー。
それは、長い人類の歴史の中で、恐らく人類にとっての一番大きなパラダイム・シフトになるだろう、と言われている。
つまり、どうなるか誰にも予想がつかない。
単純に考えて、概ね良くなれば、バンザイで済む。
しかし、良くない方に進むことも考えておかなければならない。
そのときに、人工知能に「心」を持たせることを思いついたという。
「良い」「良くない」は、まさしく「心」が決めることだから、当然と言えば当然だ。
遠くない未来にはありえなくもない
アルファ碁に都知事をさせる。
これは「いま」のところなさそうだ。
しかし、そんなに遠くない未来にはあるかもしれない。
自分が生まれた頃は、電話はダイヤル式の有線電話しかなかった。
その頃に虚構新聞で「地球の裏側の人と、テレビ電話が無料でできるようになりました」という記事が出ても、誰も信じなかったのではないだろうか。
それが今は本当にできるのだ。
人工知能の進化は、電話どころの話ではない。
スピードも、進化の幅も、だ。