21世紀の自由論: 「優しいリアリズム」の時代へ (佐々木俊尚)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 佐々木俊尚
- 発売日: 2015/06/09
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (3件) を見る
Kindleの読み放題サービス、無料体験に登録して読んだ1冊目がこれだ。
ひとは様々なことに感動するのだろう。
それがスポーツだったり、映画だったり音楽だったり。
この本で、佐々木俊尚氏の、あまりにも豊富すぎる知識と、それを一般向けの表現に落とし込む文章力、そして何より、その内容の素晴らしさに感動した。
以前から知っていたし、このブログでも紹介しているが、自分はこういう人に憧れているのだろう。
電子書籍には、紙の本の付箋やラインマーカーに相当する、ハイライトという機能があり、読み進めるうちにチェックしておきたいところを片っ端からハイライトにして、あとでそこだけを見直す、といったことができる。
この本におけるハイライトは、20箇所以上にのぼり、読み終えた後ハイライトだけを確認しても、やはりすごい本だ、と唸りたくなる。
本に限らず、好みは人それぞれだろうが、好きになるためには、自分の考え方に共鳴する部分と、自分の気付きになる部分がどちらもある場合だ。
この本も例外ではないが、今回は後者の、気付きが大きかった。
タイトルにもある、優しいリアリズム。
自分に著しく抜けているのは、この『優しい」の部分。
リアリズムばかりにとらわれていた自分にとって、この言葉は衝撃だった。
もちろん、その言葉の意味するところは、本文を読まないと分からないし、理解が浅くなる。
しかし、読み終えた後に自分に響くこの言葉は、落胆にも似た感情で、自分の未熟さを感じずにはいれなかった。
この言葉だけではない、この本はジャーナリズムの本によくありがちな、批判だけで終わることなく、来るべき未来への向き合い方も示唆している。
批判だけで終わるのは、本書でも書かれている「反権力」にしか過ぎず、それは思想や哲学とは違い、立ち位置なだけだ。
それで成り立つ時代ではもはや、ない。
昔を懐かしむノスタルジーは自由だが、そのシステムで現在に流用できるものはほとんどない。
現在が移行期だということをしっかりと認識しないと、思考停止に陥るかもしれない。
教科書は過去にしかないが、それを真似れば良いだけでなんとかなる変化量ではないのだろう。
日本も。世界も。