昨日の投稿で、レコーディングのことを書き、その後の作業のことを後日書こうときめていたのだが、なんとなく気持ち悪いので、もう書いておく。
トラックダウン
具体的なことをいえば、エフェクトをかけ、パン(定位)を決め、オートメーションを書き、ボリュームを決める、といった具合。
これらの作業のことをトラックダウン(ミックスダウン)という。
一つ一つの説明をしたらキリが無いので、馴染みのあるボーカルについて。
コンピング
ボーカルの処理はまず、複数のテイクを合わせていくコンピングという処理から始める。
ボーカルのテイクは基本3回位以内に録るのがセオリー(そうもっていくのがディレクターの手腕)で、そのテイクのいいとこどりをする、ということ。
(3回以上歌わせると、声が悪くなるから)
これは、場合によっては一文字単位でテイクを重ねることもある。
ボリュームオートメーション
組み合わせが決まったら、次はボリュームオートメーションというのを書く。
声は楽器と違い、声の音量の幅も意図せず広いので、それを全体的に同じ大きさにするのだ。
声が大きすぎるところになると、自動的にボリュームが下がる、という設定を書いていく。
これも文字単位だ。
ピッチ修正
それから、これはあまり知られていないが、ピッチ(音程)修正をする。
上手なボーカリストならピッチ修正をしないか?
そんなことはほとんどない、と言っても良い。
戦略的に、ピッチがわざとはずれているような雰囲気を醸し出したい場合などはこの限りではないが、基本的にはピッチ修正をすると思ってよい。
現代のピッチ修正ソフトは超優秀なので、レコーディングの時に少しくらいピッチがずれていてもOKサインがでる。
時間の方が大切なのだ。
(逆に言えば、修正可能な歌の上手、下手よりも、パーソナルな部分である声質などの方が重要視されることが現代では多い)
エフェクター
これらは、同じ種類のエフェクターを何重にもかけることもあるし、場合によってはオートメーションも書く。
例えば、サビのリバーブだけ少し強め、といった場合などは、オートメーションを使って処理する。
ボーカル一つだけでこれだけの作業をするのだから、これを全パートにするとなると、いかにその作業量が膨大かが分かるだろう。
一つ一つを調整したら、各パート間のボリュームバランスを整える。
また、その音を右よりか左よりかを決めていく(PAN)。
尚、これらの為に使うソフトはPro Toolsというソフトで、メジャー業界でのシェアは100%だ。
一方、同じようなことができるソフトも現代はたくさん売ってあるので、メジャーに限らなければ多くのソフトがシェアを争っている状況だ。
トラックダウンでもまだ終らない
ここまでしたら、終わりなのか、、、、というと、実は最後にマスタリングという作業が待っている。
まだ終らないのか、と思うかもしれないが、音楽業界にいれば、レコーディングが終わった後がとてもとても長い、というのは常識だ。
現代人の耳は非常に肥えているので、この辺の作業をおろそかにすることは出来ない。
ここまでやって、やっと「普通」に聞こえる。
普段音楽を聞くときに、その音源制作の後ろには、アーティストだけでなく、各分野のプロフェッショナルが時間と労力をすさまじい勢いで注ぎ込んでいることを、少しでも知ってもらえたら幸いだ。
恐らく、明日はこの後の作業のことを書くことになるだろう、、、