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音楽の世界にいる者としては、悲しいニュースです。
投票さえできれば、CDなんてどうでも良い、捨てるのさえ面倒だから不法投棄、とはなんとも悲しい気分になります。
しかし、よーく考えてみればアイドルがファンにCDを購入してもらうために握手券や投票券を付ける、というシステムを利用したのならば、今件については不法投棄という事以外に違法性はありません。
違法ではないが、適切でない、ということになりますね。良識の問題です。
握手券、投票券をCDに付けるというシステムを考えた時は、まさかこんな事が起こるなんて思っていなかった、というのが本音ではないでしょうか。
ちなみに、同様の事は今回だけでなく過去にもあります。
繰り返しますが、CD販売者の方としては、後で捨てられてもお金は払ってもらってるから、これまた問題がない。
しかし、不法投棄の温床になっている、ということには考慮すべきでしょう。
音楽の真髄は「音」なので、もういい加減物理媒体(つまりCDのこと)はやめちゃって、すべてデータ販売やストリーミングサービスにすべき、という意見もあります。
実際にデータになれば、不法投棄はなくなります。
しかし、データにはコピーがいとも簡単にできてしまうという別の問題があります。
違法コピー問題は今に始まったことではなく、昔から音楽業界は様々な方法を試みてきました。
しかし、(CCCD)コピーコントロールCDをはじめとした数ある対策はすべて普及しませんでした。
逆に、コンピュータの普及と音楽のデータ化で、コピーのし易さは圧倒的に上がったといえるでしょう。
さらに、データ販売やストリーミングの場合は、良くも悪くも音楽業界の幾つかが淘汰されます。
実際にその傾向は随分前から顕れています。
CDの売上は、1990年代後半にミリオンセラーがアルバムだけで20枚近く出ていた頃に比べると、激減と言って水準です。
タワーレコードは閉店や店舗縮小をせまられたし、HMVもしかりです。
CDのがないということは、CDを店まで運ぶ運送業にもダメージです。
CDプレス工場もそうですし、データの場合はアルバムという概念も薄れるので、マスタリングという作業も淘汰される可能性があります。
こうなると当然業界は音楽のデータ化に反発します。
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物理媒体を売り続けて、今件のような不法投棄をある程度受け入れるか。
音楽のデータ化をさらにすすめて、音楽業界が痛みの伴う改革を自ら行うか。
こういった事件から、音楽業界は真剣に考える必要性を感じるべきです。