年に数回は、音楽著作権関連のニュースを目にする。
ニュースになるというのはつまり、その管理や捉えかたが難しいから、物議を醸しやすいということであろう。
この記事にしても、音楽教室から著作権料を徴収するのが、まるで税金を払うことの様にあたり前のことであれば、ニュースにもならないし、今までだって徴収されてきたはずだ。
記事によると、徴収額の見通しは10〜20億というこうとで、双方にとって全く無視できない額だ。
JASRACがニュースに出るときには、その多くが「悪者」であることが多い。
NHKの集金等にも近い印象だ。
しかし、カタチのない「音楽」というものからお金を生み出す為には、著作権とその管理は必須だ。
日本の音楽市場規模は、アメリカに次いで世界2位。これだけの規模を誇る日本の音楽市場において、著作権を個人で管理することはほぼ不可能に近い。
そうなると、組織だってそれを管理する必要があり、それを担っているのがJASRAC。
しかし、そもそもがカタチのない音楽の管理で難しいので、徴収漏れは多くある。
コンピュータやインターネット普及以後、その難しさは更に増し、現実的に全てを監視することはできない。
ネット経由で送る楽曲データの著作権が切れているかどうかを全てチェックできるわけがないし、そもそもデータという意味では、それが楽曲なのかその他の書類データなのかを判別するのにも手間がかかる。
このように、管理するだけでも難しい音楽著作権だが、日本の場合はそれに加えてその管理を難しくしている要因がある。
レンタルだ。
TSUTAYA、GEOといった大手レンタル産業がもたらす印税収入は無視できないほどの市場を作っているが、レンタルしたものをリッピングした瞬間に、その楽曲データのコピーはいとも簡単にできるようになる。
つまり、レンタルは印税収入もあるが、著作権侵害の温床にもなるという諸刃の剣だ。
日本以外の音楽先進国において、レンタルが普及している国はあまりない。
日本でのダウンロード販売は、他国のそれに比べてあまり伸びていないが、その原因の一つにも、このレンタルが考えられている。
海外では、アルバムの中の1曲だけをほしいという場合に、アルバムを買うのに比べればずっと安く1曲を購入できる、という点がダウンロード販売を促進したという面もあるが、日本の場合は、1曲購入分程度の金額でアルバム1枚分をレンタルできる。
つまり、レンタルのほうが安い。
不正コピー防止のCDは幾度となく試されたが、それは普及するには至らなかった。
日本全体の不況と、上記した状況が重なり、日本の音楽市場は疲弊している。
JASRACはその波をもろにうけるので、なんとか売上を確保しようとした結果が、このような方針にをもたらしたのだろう。
音楽業界に身を置くものとしては、たしかに不正コピーをやめ、健全な市場が形成されたら良いと願うが、実際問題として、ここまでいとも簡単にコピーができるなかで、それを個人の倫理観に任せることには限界を感じる。
それは、田舎なら成り立つ無人販売の野菜が、都会だと全く機能しないことと同じだ。
JASRACには、新たな著作権管理の抜本的な見直しを期待する。
現状の枠に無理やりはめ込んで徴収額をある程度確保しても、それはそれですぐに限界に達することは容易に想像できる。
といって、新たな案が思いつくのかと言えば、それもなかなか思いつかない。
www.famo-seca.club
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