トランプが下馬評を覆して勝利。
差別発言、暴言。
米軍撤退、TPP、不法移民。
こういった分析や未来の見通しについては、もう嫌というほど新聞もテレビもネットも伝えているので、ここで書いても仕方がない。
ということで、民主主義と選挙ということに焦点を当ててみる。
選挙は民主主義の根幹
アメリカの大統領選は、まあとにかく盛り上がる。
テレビで開票を見守るのは当たり前で、都市部では大型ビジョンに開票状況が映し出され、それを多くの人が見守る。
その風景からは、オリンピックや、NBAのファイナルのような「まつり」的な雰囲気すら感じる。
民主主義の根幹が選挙にあることを考えると、国民の関心が政治に向けば向くほど、その体制の意義が大きくなる。
その点においては、日本は残念ながら全く追いついていない。
日本で選挙が盛り上がらない2つの理由
なぜ日本ではアメリカほど政治(選挙)に関心を集められないのか。
一つは、選挙が国のトップを決めるものだから。
日本の場合、国会議員は国民の投票で選ばれるものの、政治のトップである総理大臣を直接選ぶことはできない。
実はアメリカも、国民が直接投票するのは、大統領ではなく選挙人で、その選挙人が選んだ大統領の多数決で決定、という2段構えになっている。
しかし、たった2段構え、しかも国民が投票したその日にその2段が行われる。
すると、自分たちの投票で大統領が選ばれた、という実感が時間、工程両面で感じやすい。
日本の国会議員を選ぶ選挙は、その開票のときには盛り上がるものの、その後総理大臣を選ぶ過程はふんわりしている。
実際には、例えば自民党に投票するということは、自民党のトップを総理大臣とするということになると考えてよいのだが、実際の投票行動において、それを実感しながら、つまり国のトップを決めるのだ、という気持ちを持つ人は少ないだろう。
アメリカは、良くも悪くも「わかりやすさ」がある国だと感じる。
つまり、国のトップは誰が良い?という基準で選挙が行われるから、盛り上がる。
そして、これは日本でもできるのではないだろうか。
選挙のときに、党や国会議員を選んでいるという意識を、国のトップを選んでいるのだ、という意識に変えていけば、より盛り上がると期待できる。
そして、その為に必要なこと、かつ日本で選挙がイマイチ盛り上がらない理由の二つ目は、報道の仕方だ。
確かに国政選挙時には、殆ど全てのテレビメディアが選挙特番を組む。
しかしどこの局も、まあ堅い。
最近はテレ東の選挙特番に池上氏が起用され、その歯に衣着せぬ物言いがエンターテイメント的な色彩を帯びており、視聴率も良いようだ。
このように、選挙特番にももう少しエンターテイメント性をいれてほしい。
全局がそうなるといかがなものかと思うが、全局が堅いよりは幾分良い。
同時に、投票日前には上述したように、現実的にはほぼこれで日本のトップが決まるのだ、ということをもっともっと訴えてほしい。
マスコミによる印象操作は、良くないことばかりに使われている気がするが、プラスに使えることもあるとすれば、こういったところだろう。
そして、印象操作ができるくらい、まだまだ(?)マスメディアの影響力は絶大だ。