私はもともとピアノ、高校の時にギターを始めた、という経歴ですが、ギターは最初アコギのみでした。 その後エレキギターも弾くようになって今に至ります。
自分の経験はアコギからエレキなので、その時に感じたことを書いておきます。
まず、基本的にこれらは別の楽器、と思っていたほうが良いです。 弦の数とチューニングがたまたま同じ、くらいに思っているくらいが丁度良いですね。
別の楽器だから、演奏時の注意点も全然違います。
一番違うと思うのは、ミュートですね。 エレキギターは歪ませることもあるし、基本アンプを使って音を大きくして弾くことが前提になっています。 一方、アコギは生で弾くのが前提です。
そのため、アコギと同じようにエレキギターを弾くと、アコギの時にはなってなかった邪魔な音まで増幅されるので、雑音が多くなります。 ミュートは右手と左手の組み合わせで行うので、右手も左手もエレキとアコギは違う、ということになります。 アコギにおいてミュートは「鳴らさなくて良い弦」という風に捉えられることもありますが、エレキにおいては「鳴らしてはいけない弦」とらえましょう。
また、エレキギターはベンドをガンガン使います。アコギでもベンドは使いますが、頻度がまるで違います。 弦の太さが違うから当たり前ですね。 アコギの人がエレキをエレキっぽく弾くことへの第一歩はベンドでしょう。
次に、6本ある弦のなかで、ミュート以外の弦は多く弾いたほうが響きが豊かで良い、とされるのがアコギです。 そのため、肘を中心に振り子のように手を振り、すべての弦をピックが通過するのが一般的なアコギストロークスタイルです。
一方エレキはアンサンブルで弾くことが前提なので、ベースやキーボードと音がかぶらないように、6本ある弦なかで弾く弦をあえて少なくすることがよくあります。 その場合、いくらちゃんとミュートしてもすべての弦を弾けばやはり雑音がします。 だから、ミュートしつつ、弾きたい弦だけを狙って弾くことが多くなります。 この場合はアコギの肘中心のストロークではなく、肘から手首くらいまでは不動で、手首から先だけを細かく動かすほうが理にかなっていると言われます。
音作りに関しては言うまでもありません。 アコギは基本生音なので、音を大きくする場合もいかに生音に忠実か、という一つの指標があります。 一方エレキギターは自分で音を創造するのが前提です。 ギター本体のピックアップ、エフェクター、アンプのパラメータセッティングの組み合わせ数はまさに天文学的数字になりますので、その分「自分の音」を探求する必要があります。これはエレキギターの大きな楽しみの一つですね。
ある程度いろんな人のギターを聴くことに長けてくると、アコギ中心のギタリストがエレキを弾いている、またはその逆なんかの判断が結構簡単にできるようになります。
演奏のバリエーションという意味では、アコギっぽいエレキ、エレキっぽいアコギというのはもちろんありなので、あえて自分のメインでない方の楽器練習に一時期励むのはとてもおもしろいのではないでしょうか。