少し前に、ある後輩に質問されました。
「なにか新しいことを始めるときって、インプットとアウトプット、どちらを優先すべきなんですかね?」
思わず2度見してしまいました。何を質問されているのだろう、と。
しかし、意外とこれで迷っている人っているのかもしれませんね。
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こういう人生論的なものにおける、どちらが良いかという選択は、世界中の誰にもできません。
つまり、「勝手に決めれば」が答えです。
冷たい答えに聞こえますが、そうなんだから仕方がありません。
例えばギター習得の場合、物心ついたときから(つまり意識せずに)ギターが弾ける、という人は稀です。
だから、ギター習得の為には、インプット、つまりある程度の学習(チューニングを覚えたり、最低限のコードを把握したり)という事がない限り、ギター演奏にすらなりません。
さて、最低限のインプットをしたあとは、人によって違います。
いきなり路上に出たり、ライブハウスに出たりして、人前で演奏する人。
かなり稀ですが、いきなり配布用音源を作る、つまり録音を始める人もいます。
これらの人は、まとめて言えば、この時点でアウトプットをしています。
逆に、インプット強化を続ける人もいます。
より難しいコードを覚え、それらのコードを100回弾いても、一度もミスらないように弾けるようになるまで、ひたすら練習する人。
自分の演奏チェックの為の録音をし、その音が自分で納得いくまでは、人前では演奏しない人もいます。
自分の好きな「統計上」ですが、音楽においては、前者のほうがスキル向上は早いようですね。
しかし、これをあらゆる人、あらゆる分野に適用できる、つまり一般論化はできるのでしょうか。
できません。
(人の多様性) ☓ (分野の種類)
という数のケースが想定されますが、かけられる方もかける方も、言葉の通り数え切れません。
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冒頭のような質問をする人。
こういった人は、結構自己啓発系の本を読んでいることが多いようです。
自己啓発系の本を読むな、とは思いませんが、読み方にはよってはマズイことになります。
それは、そこに「答え」が書いてあると思って読む読み方です。
そこに答えが書いてあるのならば、その著者はすぐに総理大臣にでもなって、日本を、世界を良い方向へ導いてほしいものです。
そんなに物事は簡単ではありません。上に表した式は、つまり世界、社会の複雑さを顕しています。
ヒトは楽をしたがる生き物です。
悩む、という行為は苦しいので、楽をしたがる生き物であるヒトは、そこに答えを想定し、それに向かって努力します。
しかし実際のところ、その答えは想定されたものにすぎません。
悩むこと自体も避けられません。
最終的な結論は、答えがない、が答え、かもしれませんね。