硬貨と紙幣。
幼少期にそれらの意味を理解し始めた頃、最初に思ったことは、
「硬貨の方が高そう・・・」
でした。
幼少期のピュアな気持ちの頃でない(?)今でも、硬貨の方が金属で紙幣の方はつまり紙なので、やっぱり硬貨のほうが高そうに感じます。
ところが、日本にかぎらず多くの国では、紙幣の方が硬貨より額が上です。
世界中どこでもなのかどうかは知りませんが、少なくとも私が行ったことある国は例外なくそうでした。
不思議だと思って少し調べたところ、なるほど〜と唸ってしまいました。
紙幣の起源は、預り証だということです。
人々が物々交換に限界を感じ始めた頃、位の高い人たちは金、その他の金属で商取引をはじめました。
金属は持ち歩くには重いので、それらの金属を預かってくれるところが出来、そこで預り証を発行してもらいます。
その後は、預り証で商取引をするようになったということです。
この預り証が後の紙幣、金属を預かってくれるところが後の銀行となるんですね。
こう考えると、紙幣のほうが高額なのもうなずけます。
概念は少し違いますが、小切手が紙幣よりも基本的には高額になるのと同じことですね。
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現金主義、という人、結構いますね。
しかし、紙幣の起源を見ると、紙幣(現金)ですら実はもともと預り証です。
そもそも、通貨流通以降、紙幣や硬貨自体には価値はなく、それは所詮交換価値です。
現代において現金主義というのは、クレジットや電子マネーといったものに対するアンチです。
その理由は、現金でないともらったりつかったりしてる実感が減る、というものが多いようです。
しかし、それって壮大な幻想ですよね。実際的な価値ならば、紙幣よりもメモ帳やティッシュペーパーのほうが間違いなく有用です。
また、現金であることの弊害は観念的でなく実際にあります。
政治とカネの問題が無かった時代はない、というくらい、その問題は根深いものですが、それは現金授受の記録を残さなくて良い、というところにつけこんでいるものがほとんどです。
段々落ち着いてきましたが、森友学園問題での100万円寄付だって、あれがもし記録に残っていたら、問題はもっとシンプルになります。
そして、現金があるかぎり、記録のない金銭の授受が可能、ということになります。
電子マネーやクレジットでも記録を消すことはできますが、現金の方は寧ろ記録を残すことのほうが労力を使います。
現金主義の人を完全否定しているわけではありません。
ただ、なぜ現金主義なのかという理由と、現金が力をもっていることによる弊害はしっかり考える必要があると思います。