試みとして面白いと思いました。
しかし、返却率1割は残念です。
本文中に出てくるように、田舎の無人販売は成り立つのに、都会の傘返却は為されないという状況は、やはり食物に対するありがたさと、傘に対するありがたさの差なのでしょうか。
掘り深めていくと、性善説、性悪説の話にまで発展しそうですね。
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この記事には、なぜこのようなサービスを始めたのかという理由は詳しく掲載されていません。
おそらくは、市民の利便性を考えてのことでしょう。
たしかに突然の雨に困っている時、無料で傘を貸してくれるサービスは嬉しい。
しかしもう一歩手前で考えると、なぜ傘を持っていない状況に陥るのか、となります。
昔ならいざしらず、私が生まれて以降は天気予報が当然のようにありました。
テレビやラジオの普及も十分すぎるほどすすんでおり、その日や明日の天気を天気予報で確認して、雨が降りそうならば傘を持って出かけることは簡単です。
そして現代ならば、手元のスマホでかなり詳しい天気予報を確認できます。
アプリの中には、翌日の降水確率が◯%以上の時に通知するサービスもあり、その確率や通知の時間も細かく設定できます。
つまり、気象予報士が予想できないような突然の気象変動を除けば、その多くは予想できます。そしてそれに備え傘を持参することは容易いことです。
それでも函館市が行ったサービスが考案されるということは、雨が降る予報がされているにも関わらず傘を持っていない人がいかに多くいるか、ということを物語っているのでしょう。
なぜでしょうか。
その理由の1位は、多分「面倒だから」です。
傘はとにかく面倒です。
まず忘れやすい。以前私の友人が電車内に傘を忘れ、それを忘れ物取扱所に行くのに同行しましたが、そこは忘れ物取扱所というより、傘屋といったほうがしっくりくるほどの傘がありました。
もちろん全て忘れ物です。
いかに傘が忘れやすいのか、ということですね。
そして、それだけ面倒な思いをして持ち歩いた傘でも、雨を完全に防ぐことはできません。
完全にどころか、少しでも強い雨だったら、足下あたりはびしょ濡れです。
もちろん傘をさしていないよりは随分良いかもしれませんが、それにしたって結構な不快指数です。面倒さとのバランスがとれていない。
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記事中にもあるように、コイン返却形式の採用など、レンタル返却率を高める工夫をして、利便性と経済性のバランスをとることも必要ですが、私がもっと思うのは、やはり根本的な雨対策です。
傘はかなり昔から、ほとんどその形状が変わっていません。世の中の様々な物がどんどん便利にかわっていっていることに比べると、傘の進化はいささか見劣りします。
傘にとらわれず、防雨対策の革命を起こしたら、ノーベル賞並の賞賛を与えてもよいと思うくらいですね。
今のところそれに最も近いのは、ドローン傘かなと思います。