言葉は大切だ。
その意味にとどまらず、雰囲気や文化を創りだすのも、最初はちょっとした言葉だったりする。
そんな言葉の中で、普段から少し気になる言葉を列挙してみたい。
前もって書いておくが、特に役には立たない
新書と新刊書
新書の意味を調べると、下のように載っている
新書
新しく著した書物。また、新刊の書物
しかし、書店に行って新書のコーナーに行くと、岩波新書や新潮新書など、いわゆる教養書が棚に並んでいる。
これは、新書には別の意味があり
新書
1 新しく著した書物。また、新刊の書物。
2 新書判およびそれに類似の判型による軽装の叢書。
この2の意味の方に従っているということだ。
幾つかの辞書を調べたが、新書の意味、1つ目は「新しい書物」となっている辞書がほとんど。
にも関わらず、書店では、新書というと、教養書全般のことを指すようだ。
では、新刊の書物は、というと「新刊書」と言う。
書店で、発売になったばかりの本を探すときは「新刊書」のコーナーに行こう。
生ビール
酒は数年前にやめたが、やめる前に一番好きだったのはビールだ。
ビールには、生ビールと生ビールでないものがある。
生ビール
醸造したあと、加熱殺菌をしていないビール
これが本来の意味だ。
しかし、巷ではとうだろうか。
生ビールといえば、ジョッキ。もう少し詳しく言えば、サーバーから注がれるビールのこと。
逆に、瓶ビールや缶ビールは生ビールに相対する言葉だ。
しかし、瓶ビールや生ビールも、規定上は生ビールになっている。
実際に、瓶ビールや缶ビールのラベルには、堂々と「生」 という表記がある。
日本で、居酒屋で生ビールを注文したのに、瓶ビールが出てきたら、おそらくクレームになる。
これは、実際に使っている意味が、本来の意味から離れてしまった現象だ。
単純とシンプル
印象が変わる言葉だとつねづね思うのが、単純とシンプルという言葉。
同じ意味なのに、相当異なった印象を受ける。
「このデザイン、シンプルだな」
「このデザイン、単純だな」
いかがだろうか。上は褒めている、気に入っている様子、下は貶している、気に入ってない様子に聞こえないだろうか。
これは、形式的には同じ意味でも、使う人の印象によって使い分けがある、つまり、言葉の中に「自分の、それに対する印象」を盛り込むことができる例だ。
水色、茶色
これは、字面の通り。
水の色は水色ではなく透明だ。
お茶の色は、茶色とは限らない。なんなら緑茶のほうが、「THE お茶!」という気がしてならない。
緑茶色、という言葉がもしあったら、もうこれはわけがわからない。
納豆と豆腐
納豆は、大豆が腐ってできた食品、豆腐は豆を箱に納れて絞ったもの。
だとすると、これらの名前は反対ではないだろうか。
どちらも美味しいから、まあ構わないが、外国人が日本語の勉強するときには、ひどく混乱しそうだ。
パラレルマイナーと平行調、リレイティブマイナーと同主調
最後に、音楽理論用語。
パラレルマイナーとは、日本語で同主調のこと、リレイティブマイナーは日本語で平行調のこと。
単純に(!)英訳すると、逆である。
もっとも、それが理由で、各々の意味を反対に覚えてしまっている人もたくさんいて、最近は逆の方が正しい、という雰囲気になってきた感もある。
いっそのこと逆で固定してしまえばすっきりするが、そういった決めごとは誰がするのだろうか。
他にもたくさんありそうだ