とにかくJASRACは音楽周りでよくニュースになります。
そして、その大半は「カスラック」と呼ばれてしまうような内容です。
もっとも、上記ニュースでは少し様相が違いますが。
なぜ問題になるのでしょうか。
シンプルにその問題を考えてみます。
音楽にはカタチがない
CDやその前の媒体であるレコードを音楽のカタチと思っている人もいますが、あれは音楽そのものではありません。音楽を人の耳に届けるための媒体です。
音楽自体は、成分が「音」、究極的に言えば「波」なので、物品のようなカタチをなしていません。そこにお金が発生するから難しいのです。
CDなど、音楽をカタチにしたように見えるものからは、割ともまともにお金をとりやすいですよね。それは物品を販売するのと同じように、物とお金を交換すればよいだけです。
しかし、最近はその音源販売ですら、データ配信やストリーミングに変わっています。
カタチのない音楽がカタチのないまま販売されるわけですね。
データ販売は、売る方側も買う方側も便利にはなる一方、買う方側の違法コピーも楽にしてしまう、というもあります。
CDのコピーも昔からできましたが、データのコピーはそれよりはるかに簡単にできてしまいます。
演奏に抵抗がないし、把握しきれない
上のニュースの焦点になっているのがここですね。
上にも書いた通り、音楽の成分は「音」の部分です。だからカタチにならなくても、そこに収益があった場合は、その一部を権利者に支払うことになります。
簡単に説明してみましょう。
あるバンドが、メジャーバンドのノリの良い曲をライブでカバーして、その結果大いに盛り上げることができました。お客さんもたくさん入ったし、その分お酒もいっぱい出ました。
こうなった時に、お客さんから徴収したチケット代を、ライブ成功に関わった人で分配するのは当然です。
演奏者、ライブハウス側、そしてそのノリの良い曲を作った人で分配する、ということになるわけですね。
この中で、作曲者だけはその場にいません。
よって、最後の作曲者の部分を意識するのはとても難しい。
そこを管理するのは、個人では到底無理なので、JASRACのような組織が管理を代行する、ということですが、ライブハウスの数、そこで演奏されるコピー、カバー曲をすべて把握するのは、組織をもってしても困難です。
ここまでコピー、カバーが当たり前になると、演奏者やライブハウス側が、その収益の一部を作曲者に支払わなくてはいけない、という意識も薄れちゃいます。
個人情報に厳しい昨今なので、狭いライブハウスのステージですら、MCでバンドメンバーの電話番号を言うのはかなり抵抗があるでしょうが、メジャーバンドのカバー、コピーをするのに同様の抵抗を感じる人は少ないでしょう。
みんなやってるじゃん、でおわっちゃいます。
それに、実際はそうやってアマチュアに演奏してもらって、コピー、カバー下の音源が売れる、つまり広告や宣伝にもなりえている、というところが、支払いをするべきという意識を薄れさせている部分もあるでしょう。
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音楽は波、つまり空気とほぼ同じです。
世の中の空気が変わると、同じ空気なだけあって敏感に変化します。
流行りの音楽は当然ですが、音楽の販売のされ方、ビジネスのあり方も変化を繰り返します。
結局、ある程度空気の流れを見守るしかない、というのが、理想的ではないにしても結論ではないでしょうか。