音楽は無力というのを痛感しています。
コロナウィルスの情勢についていです。
ライブハウスを通じて感染が広がった、という報道がなされたあたりから、音楽への風当たりが強くなりました。
多くの人にとっては、音楽は聞くもの、見るものであり、娯楽や芸術です。
でも、私たちにとっては、音楽は仕事です。
ライブステージに立っている者に対して、ライブを控えるように、というのは、サラリーマンに対して、仕事をしないように、ということと同じです。
そんなことをしたら、それこそ経済的な打撃がものすごいことになって、この国は成り立たない。
だからサラリーマンはネットを中心としたテクノロジーを使って在宅ワークをすることにより、仕事をしつつ感染抑止にも対応しています。
大物アーティストともなれば、無観客ライブを開催し、多くの人が自宅で感染のリスクを抑えた状態でライブを楽しめる、という仕組みを作ることもできるでしょう。
でも、そんなことができるミュージシャンなんて氷山の一角。
だから、個人は手洗いやうがいなどの感染対策をし、ライブハウス側も換気やアルコール消毒液を用意して、なんとかライブを開催しようとします。
そこまでしてやろうとするのは、それが仕事だからです。
音楽は私にとって仕事です。ライブハウスにとっても同じです。
まるでライブをやること自体が罪かのような空気になっていることに恐れを感じます。
何度も言います。音楽は私にとって仕事です。
ウィルス感染は、直接的な犯人なんていません。
パニックを起こしているのは人です。
なくなるはずもないトイレットペーパーを買いに行く。
エセ医学が広まる。
そんな流れの中に、過剰な自粛を促す空気があると思います。
奇しくも、昨日は東日本大震災の日でした。
あのとき、私たちミュージシャンは、やるライブ全てをチャリティーにし義援金にまわせ、という空気に押しつぶされそうになりました。
実際にそれで音楽をやめていった人もいます。
音楽で仕事をしている人にとっては、音楽でのギャラが生活を支えています。
そのギャラをすべて義援金にまわせ、というのは、サラリーマンに給料すべてを義援金にまわせ、と言っていることと同じです。
フリーランスで確定申告しているひとならば当たり前のことですが、私たちが払っている税金の中には、復興特別税があり、これも当たり前ですが税金なので強制徴収です。
所得が高い人であればあるほど、この税額もあがります。
音楽でギャラをもらっている人も、ちゃんとその一部は復興のためにまわるような仕組みになっています。
だから、改めて義援金を払う余裕がない人でも、しっかりと働く事自体が支援になるのです。
今回だって、すべてのライブを自粛という名のもとにやめさせれば、そこで立ち行かなくなる人だっていっぱいいます。
それが仕事だからです
それは、冷静に考えればわかります。
少しまえにも書きましたが、改めて。
正しく恐れること。これに尽きます。