監視によって安全をとるか。
プライバシーを優先するか。
これはバランスの問題です。
ただ私が思うのは、国家権力が監視を強めたところで、犯罪抑止以外の何に使う可能性があるのでしょうか?
庶民の顔をカメラで監視してデータとして保存したとしても、それを悪用する方法を私は思いつきません。
闇社会にデータを売りさばく、なんて言い出したら陰謀論信者と同じです。
プライバシーの問題って、すでに知られているものに関しては鈍感だし、反対運動も起きませんよね。
住所や家族構成、収入なんかはすべて国家が把握しています。
医療費、社会保険料の支払状況ももちろんです。
クレジットカードを含むキャッシュレス決済は、いつ誰がどこでどんな買い物をしたかというデータを企業がビッグデータとして蓄積しています。
交通系ICカードによって、誰がいつどこからどこに移動したかのデータを交通機関は把握しています。
銀行の入出金は銀行がばっちり把握しています。
公共の場所でのカメラによる監視より、上記のほうがよほど個人・個人の生活をつかみやすい、つまりプライバシーに触れています。
もちろん国家は万能じゃありません。
消えた年金問題とかありました。
モリカケ問題での公文書改ざんだって、国家のグダグダ感が露呈したと言って良いかもしれません。
でも、だからといって何から何まで国家を疑う、というのは極端です。
プライバシーを丸裸にされる、という書き方になっていますが、それは個人を国がちゃんと管理していて、何かしらの問題が起きたときに迅速に対処できるようになっている、とも言えるでしょう。
コロナ関連の給付金や支援金をどうやって困っている人に速やかに届けるか、ということが問題になっていますが、プライバシー云々で普及がちっともすすんでいないマイナンバーカードがあれば、受け取りまでのスピードは格段にあがります。
(定額給付金受給も、マイナンバーカード所持者とそうでない者では、1ヶ月くらいの差が出ています)
国家の迅速な対応を望むならば、普段から国民を管理しておくことが必須です。
それがどうしても嫌なら、(民間もそうですが)行政サービスの質やスピード感が落ちることは間違いありません。
他にも突っ込みたいことがあります。
監視カメラは防犯に役立つとの説もあるが、相次ぐ列車内での傷害事件を見れば、まったく役立っていないことが分かる。
これはかなり悪意のある分析。
監視カメラによって防ぐことができた犯罪の件数は数字になりません。
そして、監視カメラで100%の犯罪を防げるとは誰も思っていません。
この論法って、警察がいるのに毎日のように犯罪は起こっているので、警察が役立っていない、というのと同じです。
警察なくしますか?
相次ぐ列車内の傷害事件を軽視しているわけではなく、少しでも減らそうという一つの手段として監視カメラがあるのです。
役立っていないわけないじゃないですか。
全国すべての監視カメラを撤去して世の中がよくなります?