知らないことを恥じる人は結構いる。
音楽の仕事をしているので、仕事以外で出会った人に、自分の仕事が音楽だ、と伝えると、
「普段はどういった音楽を聞くんですか?」
という質問を受けることが多い。
正直に答える。歌もの、JAZZ、FUNK、EDMなんかが好き。
インストも結構聞く。
あまり好んで聞かないのはシャンソン、カントリー、ハワイアンくらい。
で、こちらからも、音楽は普段聞きますか?という質問をすると、よくある答えが
「なんでも聞きます」
今までこの答えを相当な数聞いてきたが、実際になんでも聞く人はあまりいない。
重箱の隅をつつくようなこと聞くのではない。
例えば、JAZZは世界中に普及している音楽ジャンルで、こと日本においては、オリコンチャートにこそ入らないが、そのジャンル名を知らない人はいないだろう。
なんでも聞く、と答えた人に、では例えばJAZZで好きな人はだれがいます?と聞いても、はっきりとした答えはあまり聞かれない。
「誰が好き、とかじゃなくて、全般聞きます」
なんていう答えで逃げたりする。
この答え、はっきり言ってしまえば、ただ知らないだけの人が多い。
実際に、もう少し深く質問しても、JAZZで好きな人を3人あげられた人はほとんどいない。
細かいことを言っているように思うが、、、
なんでも聞く、というのは、音楽好きアピールにしか聞こえない。音楽業界にいる人間だって、なんでも聞くという答えはなかなかに言えないものだ。
「興味があるが、あまり知らないからおすすめの人を教えて下さい」
くらいの謙虚な姿勢は好ましいのだが。
要するに、、、、
音楽好き
↓
いろんなアーティストを知っている自分になりたい
↓
知らないとは言い難い
ということだと思う。
実際、こういう人は、社会人になる前までは、音楽好き且つあまり詳しくないということを堂々と言えた「端境期」もあっただろう。
それがいつしか「知らない」と言えなくなる。恥ずかしくて、と見栄で。
音楽にかぎらず、知らないことは知らないと言う。
正直に言えることの方が素晴らしいということを知っている方が、ずっと大人だと思う。
第一、知らないことは全然悪くも恥ずかしくもない。