身内が歯医者なので、こういった記事には反応してしまう。
もしタイトルの通り、虫歯を削る必要がなくなったら、それは本当に喜ばしいことだ。
歯医者の削る音は、黒板を爪で引っ掻いた音、金属がきしむ音に並んで、不愉快になる音の代表だ。
医療従事者でもないかぎり、あの音にはなかなか慣れない。
実は、医療の進歩もあって歯の治療も進化を遂げている。
進化といえば大げさだが、要するに「痛くなくなって」きている。
まず、麻酔のクオリティーが上がった。昔は、結構な量の麻酔を打っても効かない人もいたと思うが、そういう人も現在の麻酔ならば効くかもしれない。
それから、その麻酔を打つための注射がそもそも痛い、という人も多く、実際自分も昔その注射が非常に痛かった覚えがある(痛みの記憶は忘れないものだ)が、いまの注射器は、昔に比べ、針が相当細くなっているので、痛覚への刺激も少ない。
虫歯=ミュータンス菌+糖
虫歯になる簡単なメカニズムは、もともとから口の中にいる菌(ミュータンス菌、無害)と、摂取した糖(歯にとっては無害)が結合した時に出る酸が、固い歯さえも溶かす、ということだ。
つまり、どちらかがなければ虫歯にはならない。
ミュータンス菌は幼少期に口内に入ってしまうと、ずっと口内に残り続けるので、大人になってミュータンス菌を減らすことは困難、ということで、他方の糖を減らすことが虫歯予防になる。
※余談だが、キシリトールが虫歯予防に効くメカニズムは、キシリトールが糖とよく似ていて、ミュータンス菌が間違って結合するが、そもそも糖ではないので酸が出ず、もちろんその間(一時的)はミュータンス菌も減る、というものだ。
たまに、虫歯にまったくならない人もいるが、そういう人は要するにミュータンス菌が幼少期に偶然口内に入らなかったからと考えられる。
しかし、こういう人は虫歯にならないために歯医者に行くことがなく、結果歯石がたまることになる。
虫歯ではないが、口臭の原因にもなるし、歯周病にも発展してしまう可能性があるので、結局歯医者には行ったほうが良い。
歯科医療従事者でさえ、日々の歯ブラシだけで、歯垢(歯石の元)を完全に除去するのは難しい。
糖を控えることが、そもそも難しい
さて、前置きのほうが長くなってしまったが、今回貼っているリンクは、ちゃんとしたデータとして出ている模様なので、信用のおけるものかもしれない。
しかし、本文中に
砂糖の入ったスナック菓子や飲み物の間食を控えること
といった文章がある。
これがいかに難しいことか。
砂糖の入った、とかいてあるが、要するにこれは糖質を控える、ということになる。
糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもので、スナック菓子に限らず、ご飯、パン、麺類、イモ類はすべてこれにあたる。
糖質制限を日常的に行っている自分ですら、1日の糖質摂取量は、50gあたりまではいくのではないだろうか。
(白米ご飯1膳(150g)には約55gの糖質が含まれる)
要するに、そもそも糖質を抑えることができるひとならば、虫歯にはなりにくい。
歯石をとるために、それでも歯医者には行ったほうがよく、その時に初期段階の虫歯を治療すれば、そもそも削る必要もほとんどない。
たしかに、リンクの方法を行えば、歯の治療に削る行為は必要なくなるかもしれないが、その方法がいかに難しいかを考えると、やはりまだまだ歯を削る治療は続きそうだ。