日々じゃーなる

日々の生活でおもったことをなんとなく、でも結構まじめに綴るブログです。 趣味は読書とビリヤード。仕事は音楽関係。

ビリヤードの面白さが凝縮されたショット

 
最近はあまりしなくなったものの、ビリヤードはとにかく好きだ。
そのビリヤード界の大物、アメリカのストリックランドとフィリピンのレイズ。
 
いまから10年以上前にみたこの映像を最近また見る機会があり、やはりとてつもなく感動したので、説明しながら紹介する。
 
13セット先取りの12対12で迎えた最後の試合という状況。
順番はレイズ。
 
動画最初の球の配置はこれだ。
 

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4を左下のポケットに入れるのは簡単だが、その後の5が撞きにくい。

 
ここでレイズは、4をポケットに入れるのと同時に、5を右に弾いて、手玉は大きく引き、5を右下のポケットに入れやすいようにしようと考えた。
 
しかし、残念ながら5ではなく9を弾いてしまい、5はそのまま。
その結果がこれ。
 

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6が邪魔して、5を左下のポケットに入れるのは不可能。

 

ここでレイズはセイフティーを選択。
※セイフティーとは、ポケットしにいくのではなく、わざと外して難しい配置を相手に残すこと。
 
計画としては、真っ直ぐ5に向かって撞き、手玉は今の5あたりに、5は奥側の短クッションあたりまで跳ね返させて、手玉と5の間に6が来るようにする、というもの。
 
実際にショットして、セイフティー成功のように見えたが、ここで予想外のことが起こる。
 
なんと、5が8にあたり、8が左上のポケットに入ってしまうのだ。

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これはレイズにとって最悪だ。
手玉は思い通り6のすぐ近くで止まっているが、5は反対側短クッション際にある。
 
つまり、自分で作ったセイフティーに自分で苦しむことになる
 
世界トップクラスのプレイヤー同士、ここでミスショットをしたら、限りなく100%近い確率で負けだ。
 
ストリックランドは天を仰ぎ、勝利を確信したパフォーマンスをしている。
 
絶体絶命のピンチでレイズはどうするか。
といっても、正直選択肢すらない
「入れ」だ。
 
ここで放ったショットが、この動画の最大の見所だ。
2:20辺りで見せる、Z-shot。
 
マジシャンの異名をとるレイズの奇跡のショットだ。
アナウンサーも興奮、会場は総立ちだ。
偏屈で有名な、相手のストリックランドも拍手するほど、素晴らしいショット。
 
結局最後には、レイズが9を入れる前にストリックランドが負けを認め、勝者レイズを称える。
 
超・超ハイレベルな二人のファイナル、劇的な試合に、当時は涙が出るほど感動した。
 
これを単なるトリックショットや難しめのショットくらいに考えてはいけない。
レイズ自身も、このショットはそうそう成功しないはずだ。
そのくらい、まさに奇跡のショットだ。
 
しかし、それが偶然でないことは、レイズのことを知っている人ならば分かる。
 
彼の実力がベースにあるからこそ、こんな絶体絶命の場面でこのショットが撞けるのだ。
 
やはりビリヤードは面白い。
日本にも、このクラスのプレイヤーが出てきたら、もっともっと普及するのかもしれない。