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自分は、固定電話を引いていない。
理由は、まずもって使わないから。
加えて、引いてもかかってくる電話は営業が殆どだから。
固定電話神話は、高年齢層を中心にまだまだ根強く残っているようだ。
神話を考察してみよう。
固定電話を持つことで、信頼を得られる
会社はもちろん、個人でも固定電話だと、周囲からの信頼を得られるという意見がある。
まだまだ携帯電話が普及していない頃でも、固定電話回線の人口カバー率は100%近かった。
つまり、固定電話はみんなもっているけど、携帯電話はほとんどもっていないという期間がしばらく続いたのだ。
自分の記憶をたどっても、たしかにそういう時期があった。
(通信は、近代でスピーディーに進化した分野なので、自分の記憶にあるくらい「最近」までだ)
この時期には、固定電話を持つことで信頼を得られる、なんて考えはない。
これによって信頼を得られるというのは、携帯電話という対立項目を意識したものだ。
つまり、省略部分を補えば、「携帯電話だけでなく固定電話も持っていれば」ということになる。
上述したが、通信はこれまでも、これからも最もスピーディーに進化していく分野であろう。
(通信=コミュニケーションは、社会形成の根幹)
そんな中、今現在20歳くらいの世代に、固定電話を持っている方が信頼がある、という考えを伝えても、「なんで?」というシンプルな反応しかないのではないだろうか。
それに対する返答こそまさに神話、言い換えれば殆ど根拠がないものだ。
その中で、唯一根拠になりそうなものが、次の項目だ。
緊急時の安定的な通信
緊急時こそ通信手段は重要だが、そういった時に限って、携帯電話は回線がパンクして使えない。
やはり、固定電話が必要、という意見がある。
しかし、携帯電話がつながらないほどの緊急時というのは、人生のうち何度訪れるのだろうか。
しかも、この話に限って言うと、固定電話はつながっていて携帯電話のみつながらないという緊急時。
確かに、そういったことはある。
しかし、ベネフィットとしては貧弱だ。
いつくるかわからない限定的な緊急時の為に、結構な頻度でかかってくる営業にうんざりし、月額料金プラスアルファを払い続ける。
上記した側面を考えると、この支払は、緊急時の為の保険費用と捉えたほうが良いだろう。
しかし、その費用はそうみなせるだけであって、実際にそれが支払いに対する保証、つまり緊急時は必ずつながります、ということを約束してくれるものにはなりえない。
固定電話信者は、信頼を失う可能性も?
随分前に、社会学者の古市氏が、(LINEではなく)Eメールで仕事の依頼をしてくる人は断る、といった趣旨の発言をしていた。
理由は、Eメールで仕事を依頼してくる人は、その人やその会社の性格が旧態依然で、効率よりもメール、その他での特に意味のない礼儀やマナーを重視するとみなしてしまうから、というものだった。
固定電話神話に関しても、同じように考える世代が、全員ではないにしろ、次々に生まれてくるだろう。
つまり、固定電話で信頼を得られる、ということをドヤ顔で言う人には気をつけろ、といった世代。
他でもない、自分がそう思い始めている。
もちろん、固定電話を引くことやそれに信頼をおぼえるのは個人や会社の自由だが、その行為が逆効果(つまり信頼を失う)になる可能性もある、ということは知っておいたほうがよい。