学校の先生という仕事の一つは、いくら多様性だ、自主性だといっても、生徒の成績をあげることです。
あくまで、数ある仕事の一つですよ。
成績をあげるためにどんな方法があるか、という悩みをいつも先生は抱えていると言って良いでしょう。
昔ならば、スパルタ教育、体罰などの恐怖支配で生徒を机に向かわせ、無理やりにでも生徒の成績をあげる、という方法も選択肢の一つにあったのかもしれません。
でもそんな方法が現代で許されるわけもないし、そもそもそのやり方は成績至上主義に極化しすぎてますよね。
ところが、笑顔で「大人になったら役に立つから、みんな勉強しよう」と優しく声をかけたところで、おそらく効果は薄いでしょう。
大人になって役に立つからという理由だけで、遊びよりも勉強の方が優先されるはずもないのは自明だし、そもそも本当に役に立つかどうかなんてわかりません。
最低限の漢字、四則演算、日本地図の大まかな把握、江戸幕府の徳川将軍のうち数名の名前くらいは役に立つかもしれませんが、中学受験問題(つまり小学生の知識で解けるはずの問題)を満点とれる大人は少ないと思います。
それでも大人は立派に(?)生きています。
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ヨーロッパのある国のある小学校(高学年)の話。
ここにも、生徒の成績が上がらないことに頭を抱えている先生がいました。
そこであるとき閃いた方法を実践したところ、飛躍的に生徒の成績があがったそうです。
その方法は、生徒が帰宅後、寝るまでの時間のどこかで問題をメールで送る、というシンプルなものです。
一括送信なので、大した手間ではありません。
不思議なもので、学校で教科書やテスト用紙を前にすると、そこには勉強臭さがしっかりと漂いますが、メールで問題だけが送られてくると、問題というよりクイズのような印象になります。
「世界一長い川はなんでしょう?」
みたいな感じですね。
こんな軽快な感じだと、勉強臭さも少ないので、遊び感覚で考えられます。
そして、ソラで答えられなかったら、ネットで調べるなり、友達と相談するなりして良いのもポイントです。
試験本番ではないので、何を見て答えてもカンニングにはあたらないうえ、そこで調べたり友達に聞いたりして答えたことも記憶には残ります。
なかなかうまい方法を思いついたものだと感心します。
日本でこれを実施しようと思っても、生徒のメールアドレスを先生が把握し、勤務時間外にメールすることが許されるかどうか、などの問題があるので難しいでしょう。
しかし、ポイントはそこではなく、勉強臭さの排除だと思います。
上記しましたが、遊びたい盛りの子供たちに、遊びよりも勉強を優先させるというのは、いくら正論をならべたところで至難の技です。
じゃあどうすればよいかというと、勉強を遊びにすれば良い、ということになります。
現実的には、遊びと勉強の融合なんてそうそうできるものでもないかもしれません。
しかし、勉強は机に向かって集中して真面目にやるものだ、という固定概念が根強く残るのも事実だと思います。
勉強するうえで優先しなくてはいけないのは、勉強する姿勢ではなく、勉強で何を学ぶか、です。
机で学ぼうがメールで学ぼうがゲームで学ぼうが、結果的に教養が身につく方法であれば良いのではないでしょうか。
学校は一人の先生が複数の生徒を教えるので、ここは多数決的にもっとも学びやすい方法を選択するべきだとは思いますが、その方法が机に座って授業を受ける、という方法なのかと考えると、そんなわけないな、と思ってしまいます。