ラスト40分は涙なしでは見れません。
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ミステリー作家としては東野圭吾氏が好きですが、その東野圭吾氏が影響を受けたのが松本清張氏だそうです。
東野圭吾氏の作品、祈りの幕が下りる時の映画版(阿部寛、松嶋菜々子主演)が砂の器に対するオマージュだということで、見てみました。
いわゆる社会派ミステリーというやつで、トリックなどよりも、その物語を通して訴えたいメッセージの方に重点が置かれています。
本作品においては、ハンセン病です。
ハンセン病に対する差別を現代においていまだしている人は流石にいないでしょう。
しかし、構造として同じような現象はあります。
福島の風評被害のことです。
ハンセン病の差別がなくなったのは、医療や科学の発達によるところが大きい。
(というよりも、医療や科学が未発達だったから差別が生まれた、と言っても良い)
この作品中に、親子に向かって石を投げているこどもたちが出てきますが、いまだに福島の農産物が危険だ、と言ってる人たちは、あれと同じことをやっているのだ、と自覚してほしい。
いやむしろ、当時は本当に医療や科学が発達していなかったので、差別する空気が世間を支配したのは止められなかったのかもしれませんが、現代においては、十分に進化した医療、科学で安全性を証明しているにも関わらず、危ない危ないと訴え続けている、しかもそれを大人が拡散力の強いSNSでやっているのですから、映画中の石を投げるこどもたちよりも悪質です。
唯一の違いは、攻撃対象が政府であって、福島の人たちではない、ということでしょうか。
しかし、その批判のしわ寄せは間違いなく被災者に来るのです。
政治家は、そのことで批判されて支持率が下がり、選挙で落選すればことはおさまるのかもしれませんが、福島のひとたちはなんの罪もない被災者です。
出処のわからない記事をワンクリックでシェアすることによって、どれだけの人が不幸になるかを想像するべきです。
それはこの映画になぞって言えば、記事を読んで同意した人全員で福島の人たちに石を投げつけているのと同じです。
この映画をみて感動した人は、自分の普段の行動を今一度振り返ってみましょう。