前回の最後に出てきたDSP。
まさに専門用語っぽいですが、用語自体はどうでも良いし、理解もさほど難しくありません。
目次
DSPの意味
DSPに関しては、藤本健さんがとても詳しく記事にされていますので、ここを御覧ください。
いまさら聞けない、DSPって何!? | | 藤本健の "DTMステーション"
いろいろと語弊があるかもしれませんが、めちゃくちゃ簡潔にすると、オーディオインターフェイスで色々いろいろできる、ということです。
いろいろって、、、
どういうときに活用するのか?
用語の説明はさておき、実際にどういった場面で使うのかを考えましょう。
前回の想定もボーカル録音だったので、そのままボーカルを録音するときのことを考えます。
レイテンシーを回避するようセッティング(つまりDAWのモニタースイッチを使わずにモニターする)します。
自分の声とオケの音量をオーディオインターフェイスのつまみや専用ソフトで調整します。
さていざ録音。
さあ、ここでボーカリストは何かを感じます。
自分ってこんなに下手だったの・・・・org
うまいかヘタかは本人の能力の問題なので録音とは関係ありません。
緊張しているとかの要素を除けば録音で歌がヘタになることはありません。
それはヘタなのではなく、ヘタに聞こえているのです。
なぜヘタに聞こえるのか。
それは、自分の声がヘッドホンから返ってきているから。
そして、それは普段自分が聞いている自分の声と違うからです。
ではでは、なぜヘッドホンから聞こえてくる自分の声は、普段の自分の声と違って聞こえるのでしょうか。
マイクで拾って、オーディオインターフェイスを介してそのまま聞いているだけのはずなのに、、、
その答えは、リバーブです。
リバーブとは?
リバーブとは、エコーのことだと思ってください。
私たちが普段聞いている音というのは、リバーブがかかっていることがほとんどです。
部屋にいたら、下には地面、横には壁や扉、上には天井があります。
声を発したら、直接自分の耳に届く声に加え、これらの壁から跳ね返ってきている声も同時に聞いているのです。
タイルのような堅い材質で囲まれた部屋や広い体育館のようなところだと、認識しやすい。
でも、普通の部屋でもリバーブは必ずかかっています。
無意識であっても、脳はそこをちゃんと認識しています。
ところが、マイクで拾った音には、リバーブがありません。
そして、リバーブがゼロだと、大抵の場合歌はヘタに聞こえます。
(浴室で歌を歌ったらうまく聞こえるのは、この逆の現象ですね)
歌を歌う人にとって、自身の歌唱を「ヘタだなぁ」と思いながら歌うのは嫌だろうし、そういうのって意外に録り音ににじみ出ます。
ではどうすればよいか。
そうです、人工的にリバーブをつければよいのです。
ただ、前回説明したとおり、モニター音の経路にパソコンは含まれません。
だから、人工的にリバーブをつけるといっても、パソコン内ではつけられない。
ということで、オーディオインターフェイス自体にリバーブをつけられる機能をつけたのです。
こういうことができるのがDSP搭載のオーディオインターフェイスです。
録り音にリバーブはかからないの?
モニターにリバーブがかかると、ボーカリストは随分歌いやすくなるはずです。
では録り音にはリバーブはかかるのでしょうか?
これは、基本かかりません。
前回の記事でバランス調整を歌いやすいように設定しても録り音には影響しない、という内容を書きましたが、リバーブも同様です。
あくまでモニターのみにかかります。
だから、上に書いたように、浴室で歌っているときくらい響きまくるリバーブをかけて歌っても構わないのです。
「基本かからない」と書いたのは、機種によっては録り音にもリバーブをかけるというスイッチ選択型のものもあるからです。
ただ、王道の使い方としては、モニターのみにリバーブをかける方です。
そうすると録り音はリバーブが全然かかっていない音になりますね。
(この音のことをドライデータと言います)
で、録音が終わったあとDAWのトラック上でリバーブを細かくかけていく、という流れが多いですね。
録音するときにとりあえずかけるリバーブと、作品にするために緻密にかけていくリバーブを分けているのです。
あとがき
オーディオインターフェイスを選ぶ際、DSPが搭載されているものはすこし値段があがります。
節約したいし、リバーブなんてなくてもなんとかなる、という人はDSP非搭載でも良いかもしれません。
次回は、この話に続いて、歌の録音のときにあるこれの意味を説明します。