学生時代には、とにかくたくさんのアルバイトをした。
2つ3つの掛け持ちは当たり前で、深夜に工事現場で働きながら、ヘッドホンステレオで楽曲のコードコピーをしてお金稼ぐという荒業もやっていた。
お金が無いことも悪いことばかりではなくて、生活に切羽詰まったら、人は自分の限界を予想以上に低く設定していたことに気づくのかもしれない。
話はそれたが、今回は、アルバイト、その他職に就くときに必要となる履歴書について。
履歴書の項目を改めて考える
履歴書に書くことといえばどんなことがあるだろうか。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 連絡先
- 学歴
- 職歴
- 資格
- 趣味
- 職場までの交通機関と所要時間
- 要望
といったところだろう。
このうち、そもそも論で考えて、本当に必要なものはどれだろうか。
氏名、生年月日、性別、住所、連絡先は、雇用においては最低限必要な情報になる。
職場までの交通機関と所要時間も、採用するかどうかを決める判断材料の一つになることは理解できる。
要望は、この段階で雇用主が聞いておきたいことだろう。
お分かりだと思うが、残りが問題だ。
つまり、学歴、職歴、資格、趣味。
内、職歴、資格、趣味はまだ理解できる。
今まで就いたことのある職業(職種)が、この職場で活かせるかどうかを判断したいということだろう。
資格や趣味も同様。
しかし、学歴はどうだろう。
学歴もたしかに、最終学歴くらいは、判断材料になりえるのかもしれない。
しかし、一般的には中学くらいから記すことが多い。
少なくとも高校からは書かなくてはいけないことが多いだろう。
しかし、職に就くにあたって、その人が何年何月にどこの高校を出た、という情報は、どこまで必要なのだろうか。
実際にこれまでたくさんのアルバイトをしてきた中で、この学歴欄を面接官がみて話した内容は「へー、あそこの学校卒業なんだ。俺と同じだねぇ」といった、正直どうでも良い会話のネタになった記憶しかない。
これは学歴に限らず、例えば資格欄には多くの人が「自動運転免許」などと書くが、車の運転が必須の職場ならば、応募時点で必ず資格欄にそれを載せているはずで、運転が特に必要のない職場では、ここに関係のない資格を書く理由なんて全く無い。
もしかして運転してもらうことになることもあるだろうが、そんなときは口頭で本人に「免許持ってる?」と聞くはずで、わざわざ入社時の履歴書を引っ張りだして確かめに行くのなんて手間がかかるだけだ。
ある国の履歴書
自分がこういうことを疑問視し始めたのも、海外にいってからだ。
渡航してすぐにアルバイトを探したが、その時に初めて、その国には履歴書のフォームがないことを知った。
つまり、自分で白紙から作成しなくてはいけないのだ。
自分が渡航したころには、すでにPCスキルも重要になりつつある時期だったからか、履歴書はかならずパソコンのワープロソフトを使って作成し、プリントアウトして持参、ということが多かった。そうすることによって、最低限のPCスキルがある人にフィルタリングしていたのだろう。
何も知らなかった自分は、早速インターネットカフェに行き、慣れない英語でなんとか履歴書を作成して、面接を受けに行った。
その職場は掃除屋で、英語がそんなに堪能でなくても、掃除はできる、と思ったので選んだのだ。
履歴書には当然、卒業した高校や大学、それまでのアルバイト職歴も書いていたが、それをみて面接官が「この高校や大学では、何か掃除や清掃に役立つ何かを学んだのか?」と聞かれた。
学校で掃除や清掃のことなんて学んでいないので、Noと答えると、不思議な表情で「じゃあ、なんでこの学校を卒業したことをわざわざ履歴書に書いたんだ?」と問われた。
カルチャーショックというのは、こういう地味なところから始まるのだ、と実感した。
確かに、清掃会社でアルバイトをするのに、自分の行った高校や大学で学んだことが直接役に立つとは思えなかった。
日本は個人情報、その国では自己アピール
日本では、履歴書は、面接に来た人の個人情報を面接官及び会社側が把握するためにあるのに対し、自分の行った国では、応募者の自己アピール書類だ。
書く項目、内容、分量も全て自分で決める。
しかし、少なくとも履歴書は、面接官との雑談をするためのネタを書くものではない。