日本は世界3位の経済大国だ。
お金は、個人にとっても国にとっても非常に重要なもの。
ところが、お金はその半面悪いイメージもあるようで、「カネ稼ぎのために何でもする」ということ言われることも多い。
自分の仕事は音楽で、音楽とお金もあまり親和性がない。
お金の為に音楽をやっている、と堂々と言うと、様々な方面から冷ややかな視線が注がれそうだ。
実際、サラリーマンをやっている人の中に占める、それが本当に人生でやりたいこと、と言う人が、わりと少ないのに対し、音楽はそのほとんどが、音楽をやりたいからやっていると言う人だ。
しかし、音楽でお金を稼ぎたいと思うことはいけないかというと、全然いけなくない。
音楽をしている一番目の理由は音楽が好きだから、だとしても、二番目にそれでお金を稼ぎたい、ということは普通だ。
なぜお金を稼ぎたいと思うのか
お金は交換価値しかない。
だから、お金は稼ぐだけでなく、それを何に使うかが重要だ。
しかし、音楽をしている人間にとっては、お金はもう一つ別の意味合いを持つ。
それは、自分の音楽のバロメーターという捉え方。
例えば料理人ならば、自分の作った料理を食べて、美味しそうにしている顔を見たときは、料理人冥利につきるというものだろう。
料理に限らず、モノを作り出す人は同じではないだろうか。
これに対して音楽はどうか。
音楽の収入は、ライブと音源による印税。
うち、ライブに関しては、上述した料理人と同じで、その場にいるオーディエンスの盛り上がりを見たときは、至福の喜びだろう。
しかし、音源はどうだろうか。
音源は、その場にオーディエンスがいるわけではないので、肌では感じにくい。
そこで、印税収入額がバロメーターになる。
正しく集金されていると仮定した場合、印税は音源が売れたときはもちろん、CM、その他で使われたときには、すべて発生する。
つまり、印税収入額がおおきいというのは、それだけ自分の音楽が世の中で聞かれている、ということに等しい。
音楽は人に聞いてもらって初めて成り立つ文化だ。
大衆迎合音楽がマイナー音楽より必ずしも良いとは限らないが、1人でも多くの人に自分の音楽を届けたい、と思う気持ちは自然な感情だろう。
多くの人が、0から創りあげた自分の音楽を求めてくれている、ということに喜びを感じる人は多い。
音源の場合は、それが印税額によって示される。
つまり、音楽をしている人にとっては、お金は自分の音楽がどれだけ認められたかのバロメーターなのだ。
超大富豪の孫氏が、庶民なら誰でも食べられるコンビニ飯を食べるとはどういうことか。
それは、稼ぐお金を「使う」という見方とは別に、「バロメーター」とみなしている側面もあるからではないだろうか。
収入額によって、自分のやっている事業が社会貢献に役立っている、ということを感じとっているのだと思う。
分野の違う職種を、収入額で比較するのは難しい。
マネタイズをやりやすい職種とやりにくい職種があるのは当たり前で、現在ならがテクノロジー関連企業はある程度マネタイズしやすいだろうし、音楽をはじめとした芸術・文化の分野はマネタイズが比較的難しいと思う。
しかし、同じ分野ならば、やはりお金をたくさん稼いでいる人、会社は、それだけ社会に貢献できていると見て良いと思う。
お金を稼ぎたい、と思うことは悪いことではない。
それが、社会貢献をしたい、ということを意味するのならば、積極的にお金を稼いで欲しいと思う。