仕事はほとんどの人にとって、人生の大きな部分を占める大切なものであると思います。
仕事とは本来、皆で協力し、補い合い、一人でも多くの人が共存できるようにしよう、という仕組みから生まれた形態だと言えます。
労働力を提供し、現代ならば交換価値の最も高いお金に変えるという仕組みが、協力、補い合いという行為をスムーズにさせています。
一人でも多くの人が共存できるように、ということを考えれば、ストレスが溜まり、過労死する人が出るというのは、いかに本末転倒でおかしなことかが分かります。
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敗戦後日本は焼け野原だらけでした。
平穏な日々を送ることがかなり難しかったその時代は、国全体がストレスを抱えていたとも言えます。
そんな時代ならば、国民一人ひとりが小さなストレスと立ち向かう事によって、国全体のストレスを軽減していこうという流れになるのは致し方ありません。
一致団結の精神です。
それから70年以上が経過した現代は、国全体がストレスを抱えていると言えるでしょうか。
私は言えないと思います。
明日食べるものに困った時代と違い、私のように音楽に人生をかけるひともいます。
食べるものに困ったひとだらけではないからこそ生まれた音楽ビジネス文化です。
もちろん食べることに直結した仕事をしていらっしゃるひとも多くいます。
大切なのは、国全体を一様に語ることができない時代だ、ということです。
色んな人がいて、色んな生き方があります。
何を言いたいかというと、そんな現代は、「苦労は買ってでもしなさい」という価値観ですら、一選択肢でしかない、という時代だということです。
日本には、努力・忍耐・根性・懸命など、ある行為に対して苦労がともなうことを前提とした言葉がたくさんあります。それらの言葉は、一定の美学を表しているとも言えます。
そして言葉は確実に社会を表します。
つまり、苦労することはよいことだ、という価値観は、いまだ根強く残っているということです。
逆もしかりで、そう考えるひとにとっては、苦労しないことはよくないこと、ということも同時に思うようになります。
仕事もそうで、面白いことをやるのが仕事ではなく、苦労してやることが仕事だ、という価値観ですね。
冒頭のまとめ記事に出てくるキンチョールの超難解折り紙。
これは一体なんのためにやっているのでしょうか。
特設サイトまであり、そこからPDFをダウンロード出来るようにまでする手の入れようです。
超難解折り紙。 | 新聞広告 | KINCHO 大日本除虫菊株式会社
大企業なので、頭の良い人がいて、こういうことをやると話題になり、結果効率の良い広告になる、という戦略を立てていることも十分に考えられます。
しかし、「おもろいやん」というシンプルな発想も必ずあるでしょう。
「おもろいやん」と思ってやることに「苦労」という言葉はあまり馴染みません。
でも、これは間違いなく仕事です。
しかも、良い仕事だと私は思います。
この他にも、エイプリルフールにGoogleがやることなんて、毎回すごいですよね。結構私は楽しみです。
あれによる直接的な利益は多分ありません。
間接的な利益は計算が難しいですが、多少あるでしょう。
しかし、これも発想の原点は、「おもろいやん」ではないでしょうか。
せっかく「明日生きていくのに困っている」という人ばかりではない時代に生きているのです。
仕事も楽しんでやる、楽しくする工夫をするという価値観がもっと浸透すれば良いな、と思っています。