御本人は謙遜してらっしゃいますが、誰もが認める一流のプロデューサー、蔦谷好位置さんを交えたトーク動画です。
私ごときが解説するまでもなく、この動画を見てもらうのが一番良いと思いますが、私が特に共感したところは、
「2年位曲ができなかったあと、5分位で曲ができたとき、それは5分でできた曲ではなく、2年と5分でできたんだ、と考えた」
というところです。
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作曲家の気持ちを先日書きました。
作曲家の悩みや苦しみは、本当に伝わりづらいし、それを伝える必要もないのかもしれませんが、ほんのちょっとだけ知っておいてほしいと思って書きました。
作曲にもスキルがあって、作れば作るほど上がっていきます。
そうすると、自己採点のハードルも上がるので、作った曲に満足いかなくなるわけです。
こういったことは例外なくすべての作曲家が味わう悩みです。
もちろん、スポーツなんかにもあるかもしれませんが、作曲の場合はクリエイティブなことなので、掴みどころがなくてより悩ましい。
そして、悩み苦しんだ後にできる曲があるのです。
だから、2年と5分でできた曲、となるのです。
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これと似た話で、ピカソのものがあります。
ピカソの逸話 30秒で描いた絵の値段が100万ドル その訳に考えさせられる (2016年8月31日) - エキサイトニュース
クリエイティブなことというのは、作業している時間とは別です。
作曲で言えば、メロディーやコードを打ち込んでいる瞬間ではなく、それがどういった経緯や背景から生み出されたのか、というところがクリエイティビティーです。
作曲に関しては、巷にハウツー本が多く売られています。
別にああいった本が嘘だとか約に立たない、と言っているわけではありません。
ただ、あくまでああいった本は「How」です。
音楽理論や使用ソフト、機材、環境、マーケティングなどですね。
これに対する単語は「Why」、つまり「なぜ」作るのか、ということです。
音楽をいくら聞いても、お腹は満たされません。
だから、合理的な意味では音楽を聞く、作る意味というのはないわけです。
それでも人は音楽を聞きます。
だから音楽を作るひとがいます。
なぜなんでしょうか。