- 作者: サイモンシン,Simon Singh,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/30
- メディア: 文庫
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これは文句なしに面白かったです!
私は理系ですが、別に数学が特に好きというわけでもないので、フェルマーの最終定理についても「聞いたことあるなぁ」くらいでした。
この本を読むと、この定理がいかに難しく、そして美しいかが身にしみてわかります。
難しさは言うまでもありません。
フェルマーが残した定理が解けるまでに、300年以上かかってるんですからね。
挑戦したのは、その辺の凡人じゃありませんよ。数学界のエース級がこぞってこれに挑み続けたんです。
ついに証明に成功したアンドリュー・ワイルズだって、毎日毎日考え続けて8年です。
世界一の頭脳をもって、休みなく8年、屋根裏でやり続けるって、どんだけ難しいんだ、ってはなしです。
それだけかかって最後に解けたところなんて、感動してちょっと泣けますよ。
まさか数学の証明で涙するとは思わないでしょう?
でも泣けちゃいます。
ちなみに、数学の知識はそんなになくても大丈夫です。
まあ、少しはあったほうが良いですけど・・・
で、もう一つの”美しさ”です。
これほど難しくて、数々の数学者を悩ませてきた定理なんだから、その定理自体も一般人から見ると、わけわからん!ってなりそうなもんですが、それが結構シンプルなのが美しく見えます。
ピタゴラスの定理ってありますよね?
この式では2乗ですが、これが3乗、4乗・・・としたときに式が成立するa,b,cの組み合わせはない、というのがフェルマーの最終定理です。
(ちなみに、この本にはピタゴラスもちゃんと出てきます)
数字(自然数)は無限にあるので、めちゃめちゃでかい数字でだったらもしかしてa,b,cの組み合わせはあるかも、みたいなのでは数学の証明にならない。
無限にある数字すべてにあてはまる、っていう証明じゃないといけない。
いやー、こりゃムズカシイ!
でも定理自体はシンプルなので美しく見えます。
あと、日本人として嬉しかったのは、最終的にこれを証明したワイルズの証明方法に、日本人の数学者とその予想(予想の意味は本書を読めばわかります)が欠かせない、というところ。
◆
数学は学問なので、芸術とは違う、と思ってましたが、この本を読むと、数学もここまでくれば立派な芸術だ、と思い知らされます。
数学が苦手な人も、もちろん好きな人にもおすすめ。
ぜひ読んでみてください。