ミックス作業の前には、すべてのトラックをオーディオ化する、という記事を前回投稿しました。
今回は、その理由を説明します。
目次
オーディオ化の理由①〜CPU負荷やメモリ使用量の軽減
プラグインインストゥルメントを挿していると、それだけでCPU負荷やメモリ使用量が増えます。
複数のトラックに様々なプラグインインストゥルメントを挿していたら、作業自体が重たくなります。
長々と説明したマルチティンバーをフル活用しても、CPU負荷やメモリ使用量は増えます。
オーディオ化してしまえば、これらは使わなくなるので、CPU負荷やメモリ使用量がかなり減ります。
オーディオ化の理由②〜DAWソフトやOSとの互換性
パソコンにインストールされているOSの上にDAWソフトが、さらにその上にプラグインがインストールされている、という状態だということが説明しました。
これはつまり、使用しているプラグインがDAWにもOSにも対応していないと、バグが出たり音が鳴らなくなったりする、ということです。
DAWソフトは、OSがアップデートされてしばらくの期間をおけば、DAWソフトがOSに対応しはじめます。
プラグインインストゥルメントもだいたいそうなりますが、中には対応が大幅に遅れるものもあります。
遅れるだけならまだしも、ちょっとマニアックなプラグインだと、ずっと対応せず、なんてこともあるのです。
こうなると、別のプラグインインストゥルメントに差し替える必要が出てきます。
音は出るようになりますが、違うプラグインインストゥルメントを使っているのだから、全く同じ音にはなりません。
仕事で音楽制作をしていると、過去のデータを引っ張り出してきて再提出しなくてはいけないことが多々あります。
それが5年、10年前のものだということもあります。
オーディオ化せずに保存しているMIDIトラックは、10年も経つと、だいたい音が出ません。
こういうことを避けるためにオーディオ化するのです。
オーディオ化の理由、おまけ〜編集のしやすさ
MIDIは編集がしやすい。
しかし、それはどんな編集をするかによります。
ピッチやベロシティー、クオンタイズなどはMIDIのままのほうが遥かに編集しやすい。
しかし、ミックス作業でピッチやベロシティーを編集することはありません。
(ボーカルのピッチ補正はまた別の話です)
で、これらを除くと実はオーディオのほうが編集しやすいのです。
波形を切ったり、フェードをかけたり、といったことはMIDIのままでは限界があります。
あとがき
前回も書いたとおり、DAW関連書籍やサイトには、MIDIのオーディオ化が必ず説明してあります。
少なくともミックス作業の前には、こういった理由でオーディオ化します。
しかし、ミックス作業の前に別の理由でオーディオ化することもあります。
(一時的にオーディオ化するフリーズなど)
ただ、この辺の使い方は人によって全然違うので、説明は割愛します。
ミックス作業の前には全トラックをオーディオ化、ということだけは覚えておきましょう。
次回は、オーディオ化するときの注意点です。