今回は、コンプレッサーで難解なパラメータ、アタックとリリースについて説明します。
目次
アタックとは
コンプレッサーに限らず、シンセのエンベロープなんかにも出てくる用語です。
あんまり難しく考えなくても大丈夫です。
スレッショルドは少し前の記事で説明しました。
スレッショルドで設定されている音量を超えたら、圧縮がかかります。
アタックというのは、スレッショルドを超えた時点から、圧縮がかかるまでの時間のことを言います。
そう、スレッショルドを超えたらすぐに圧縮をかけるとは限らないのです。
もちろん、するにかけることもあります。
そういう場合は、アタックは最小にします。
なぜアタックのパラメーターがあるのか
コンプレッサーの目的は、出過ぎた箇所の音量を抑えて、全体の音量を上げることでした。
だったら、アタックなんて常に最小でも良いのでは、と思うかもしれません。
ところが、これが小さすぎると困ったことになる場合もあるのです。
それは、楽器の特性が失われる、ということです。
歪んだエレキギターの音と、きれいなストリングスの音。
この2つは音色が全然違うと感じますよね?
ところがこの2つの音成分は結構似ているのです。
いや、全然違う!と言い張る人も多い。
でも、データ理論上似ているのは事実です。
なぜ全然違って聞こえるのか、それは音の始まりが違うからです。
歪んだエレキギターは、ピックが弦にふれて「ジャリ」っとした音がしたあとに音が伸びます。
一方ストリングスは、段々と音量が上がっていく感じです。
発音の入り口にかなり差があるので、音色が違って聞こえます。
これは言い換えれば、発音の入り口にこそ歪んだエレキギターやストリングスの楽器特性があるのだ、となります。
アタックの話に戻します。
もしアタックが小さすぎたら、上で書いた楽器の特性部分まで圧縮されて聞こえなくなります。
これは、音量を上げたいという目的があっても、避けたい状況です。
よって、アタックの値を調節して、その楽器の特性が損なわれないようにするのです。
プリセットを活用しよう
リリースを扱うのも、いろんな根拠があるのですが、要するに音的に自然に聞こえさせるために調節します。
ただ、アタックやリリースは理屈がわかっても、実際に設定するのは難しい。
そこでおすすめなのが、プリセットの活用です。
大抵のコンプレッサーには、各楽器の名前がついたプリセットがあります。
アタックやリリースは、大まかに言えは楽器によって設定値がきまります。
スネアなら、スネアのプリセットを選んで、スレッショルドやレシオを設定すれば、大丈夫です。
あとがき
アタックとリリースって、難しいというイメージがついてまわりますが、最近のコンプレッサーやリミッターには、プリセットもあるし、自動設定もあります。
文明の利器はガンガン使いましょう。