この動画とは直接関係ないけれど、昔あったある出来事を思い出しました。
私は以前、某有名ジャズ・クラブで働いていました。
全席指定、予約制です。
ただ、予約人数がキャパを超えた場合、臨時的に立ち見スペースを用意して、ちょっと安い金額で入場してもらう、ということもあったんです。
立ち見だったらどこでも良い、ということではなく、ちゃんと立ち見スペースを用意します。
立ち見スペースは、キャパを超えた時に初めて用意するもので、まだ座り席があるのに立ち見を希望することはできません。
あるアーティストの予約において、公演日1週間前くらいに満席になりました。
ここからは、立ち見になることを了承してもらったうえで予約をとります。
公演日の数日前、ある高齢の女性から予約電話が入りました。
すでに満席なので、立ち見になることを伝えました。
すると、
「高齢なので、公演中にずっと立っているのは難しい、立ち見スペースで構わないので、椅子を用意してくれないか」
とのお願い。
これは難しい判断です。
理由は立ち見スペースの位置にあります。
クラブの構造上、実は立ち見スペースはステージに結構近いのです。
(ステージ脇、のような位置です)
もし立ち見スペースに椅子を用意してしまうと、先に予約して指定席を利用している人よりも安く、良い場所で、しかも座って公演を見られることになってします。
先に予約して指定席を利用しているお客さんからはクレームが出て当然です。
しかし、椅子はこういった理由で用意ができないから、最後まで立って我慢するか、この公演を諦めるか、と言ってしまうのも可愛そうです。
確かに早めに予約すればよかっただけのことですが、人にはいろんな事情もあります。
問題です。
結局どうしたと思いますか?
答えは、車椅子に座ってもらったのです。
想像すれば分かると思いますが、車椅子に座っている場合は、クレームは来ません。
そして、座っていることには違いないので、本人も公演を楽しめます。
この解決策、どう思いますか?
その場がまるくおさまったのは事実。
しかし、車椅子に座ることによって、障害者のフリをしたわけですね。
これはあまりよくない。
ただ、今回の場合は悪意は誰にもありません。
これをきっかけに、
「障害者のふりをして予約したら、立ち見スペースで座って、しかも安くて、そして見やすい位置を確保できるぞ」
と考える人が湧いてきたら最悪です。
微妙な判断だとは思いますね。
みなさんはどう思いますか?