演奏する人にとってジャズってどういう印象ですか?
おしゃれ?
いやいや、それより、難しいという印象のほうが強いと思います。
少なくとも演奏する人にとっては。
ただ、難しいのがジャズじゃなくて、ジャズが難しいんだと思うようにしましょう。
難しいのは事実です。
ジャズの理論の詳しい説明は、そういったサイト、動画、書籍に譲るとして、ジャズがなぜ難しいのかをざっくりと説明します。
音楽の三要素ってありますね。
リズム、メロディー、ハーモニー。
このうち、音程が関係しているのはメロディーとハーモニーです。
このメロディーとハーモニーって、人の感情をコントロールできるんですよね。
不思議なことに。
例えば、誰もが聞いたことある起立、礼、着席のピアノ。
起立、礼、着席に合わせて3つのコード(=ハーモニー)がなってますね。
さて、ここで二つ目のコード、つまり礼のところでピアノをやめたらどう思いますか?
「そこで終わるんかい!」って突っ込みたくなるでしょう?
これが、ハーモニーによる感情コントロールの証拠です。
最初と最後のコードは同じコード、二つ目の礼のコードは、音楽理論的にはドミナントというコードで、すごく次に行きたくなるコード、いいかればとても不安定なコードです。
最初や最後のコードは「終わった〜」という感じがしませんか?
これは落ち着いたコードで、音楽理論的にはトニックと言います。
私たちが普段耳にしている楽曲は、トニックとドミナント、それからサブドミナントというドミナントほどではないけどまあまあ不安定なコード、この3種類ですべて構成されているのです。
全てです。驚きでしょ?
さて、ジャズの話です。
落ち着かないというのの極限はというと、「間違い」です。
間違ったら「あちゃ!」と思う、あれこそ落ち着かないという状態の頂点です。
ジャズは、これを逆手に取ります。
つまり、あと一歩攻めたら、もう間違いじゃん、というところまで持っていく。
間違いギリギリのことをやるということは、正しいこと=決められている法則から最も遠いことをやる、ということになります。
だから難しい。
もちろん、間違っちゃダメです。
ギリギリまで攻めるけど間違えない。
例えているなら、死ぬほど怖いけどすごく安全に設計されている絶叫マシーンみたいなものです。
絶叫マシーンの設計って難しそうでしょ?
ジャズの難しさは、ここに由来しています。
理解するのが難解なのも必然かもしれませんね。
これまた絶叫マシーンと同じで、好き嫌いが分かれるのも当然です。
私は大好きですけど、ジャズも絶叫マシーンも。