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将来の夢について、大阪府内、小学4年生、男子という、なかなかに限られた対象アンケート結果だが、それにしても野球よりもYouTuberが上回っていることは、それなりに驚きだ。
ちなみに、本文にあるように1位はサッカー選手、2位は医者だそうだ。
将来の夢と、将来就きたい職業はイコール?
将来の夢のアンケートだが、将来就きたい職業は?という質問だったら結果が違ったものになったのではないだろうか。
自分たち世代くらいまでは、将来の夢と将来就きたい職業は、個人レベルでは基本的には同じものだったと思う。
これの意味するところはつまり、就職し、その仕事が人生の中心にあるという前提があるということだ。
将来の夢を叶える為に、その職業に就くのだ。
宇宙に行きたかったら、宇宙飛行士に。
ビッグステージに立ちたかったら、ミュージシャンに。
そこには、逆にその職業に就かなければ、その夢をかなえることなんてできない、という前提も包含しているように思える。
しかし、いまはどうだろう。
ジャーナリストの佐々木俊尚氏が「レイヤー化する世界」の中で述べているように、一つの会社に就職して、終身雇用で安定、という時代は完全に崩壊に向かいつつある。
これも逆に捉えれば、「就職」や「職業」ということにとらわれずに人生を設計する人が増えつつあるということだ。
就職で人生を設計するのではなく、人生の中のイベントの一つに就職「も」ある、という状況。
小学生が答えたのは、夢であって職業ではない
こういった時代に、環境に敏感な若者を相手としたアンケートをとった一つの結果が、この記事だろう。
これを読んだ、自分たちより上の世代は、将来の職業としてYouTuberを選んだと受け取るのかもしれないし、そういうつもりで答えた小学生がいるのも事実だと思う。
しかし、現実としてはそうではないし、そうはいかないのではないだろうか。
将来の夢としてYouTuberを選んだからといって、それ「だけ」で生計を立てていくことなんて考えてさえもいない、というのが本当のところではないだろうか。
可能かどうかは別として。
そもそも、小学生の頃に将来の夢を聞かれた時に、それで生計が立てられるかどうかを気にして答える子供なんてごくごく少数で、殆どの場合、ただひたすら純粋に「それかっこいい」といったものではないだろうか。
要するに、生計を立てていけるかどうかという基準とは全く違った次元で、YouTuberという人たちとその立場(スタンス)が、小学生のあこがれになっているということだ。
YouTuberを知らない人たちは判断不能
生計を立てていけるかどうかと関係なく、YouTuberを将来の夢として選択した小学生を、まだYouTubeすらなかった時代に就職して今まで生きてきている人たちが、なにを基準に判断できようか。
就職でもないし、YouTuberがなんたるかも知らないという人には、絶対に判断できない。
つまり、こういった結果は、「へー」と思っておけば良いだけだ。
レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)
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