テレビやネットの通販で昔から紹介されるものの代表に、フィットネス関連商品がある。
器具そのものから、フィットネスのビデオ販売まであり、ビリーズブートキャンプは、フィットネスに興味が無い人にまで知れ渡ったほど有名になったのは記憶にあたらしい。
通販は当然、買ってもらいたいから、購買意欲をそそる宣伝をする。
フィットネス関連商品の購買意欲をそそるために必要なのは、「効果」「ラクさ」であろう。
つまり、こんなに簡単に体が引き締まりますよ、といったことが宣伝の中心となる。
話をわかりやすくするために、ダイエットのためのフィットネスを例に挙げよう。
ダイエットに効くフィットネス関連商品を販売するためには、どういった手法を使えば「効果」と「ラクさ」を演出できるだろうか。
「効果」をうったえる手法は、自分の知る限りでは昔から変わっていない。
ビフォーアフターを示すのだ。
実際のユーザーのインタビュー映像や、本人のビフォーアフターの画像を出し、「こんなにも痩せました!」と示す。
代わり映えしない手法とはいえ、シンプルで良い方法であるとは思う。
ただし、その人がサクラでなく、その画像も本当だったらという条件は必要だ。
しかし、これはユーザーには調べようがないので、とりあえず信用するしかない。
さて、ツッコミたいのは「ラクさ」の方だ。
それは本当に「たった」なのか?
「一日たった10分の運動で、あなたも見違えるような体に!」
「効果」の方と同じく、これまた昔から代わり映えのしない文言だ。
しかし、冷静に考えてみる。
一日たった10分の運動とは、具体的にどのくらいの運動量なのだろうか。
「たった」という表現を使っているので、それは「継続が簡単だ=ラクだ」ということを示唆しているのだろうが、本当に継続が簡単な運動量なのだろうか。
ダイエットのための運動の代表、腹筋で考えてみよう。
腹筋の仕方も様々で、どんな方法が効果的かは諸説あるが、それはさておき、ここでは2秒に1回のペースで腹筋をすると仮定する。起き上がるのに1秒、戻るのに1秒だ。
このペースで10分腹筋をすると、300回腹筋をすることになる。
別の運動に置き換えてみる。
ジョギングも腹筋に負けず劣らず、ダイエットのための運動の代表格だ。
結構ゆっくりのペースで、9km/hとしたら、10分で走れる距離は1.5kmとなる。
つまり、一日たった10分の運動で、を言い換えると
- 一日腹筋300回で
- 一日1.5km走れば
となる。
だいぶ印象が変わるのではないだろうか。
もっと言えば、上記運動をすれば、当然痩せるだろう、と思ってしまう。つまり、とくに販売されている商品を買う理由(=一日たった10分で効果がでる商品だから買うという理由)が一つ減る。
宣伝「文句」に踊らされないように
宣伝においては、同じ商品をどのように見せるかが肝だが、消費者はそれに踊らされないように気をつけたいところだ。
- 「休日は半額セール」という広告も、裏を返せば「平日が倍額」ということ
- 「雨の日割引」は、「晴れの日割増」とも言える
- 吸引力の変わらない掃除機は、最初から吸引力が低いだけ(かも)
消費者としては、宣伝手法に躍らされることなく商品選択を心がけたい。