仕事でも日常でも、早さを重視して効率化することは良いことだ。
早さは大きな武器で、メールの返信ひとつとっても、そのリアクションが早いだけで、相手への信頼度が上がる。
効率化のために、あらゆるものをテンプレート化している人も多いはずだ。
例えば(マニアックで申し訳ないが)コンピュータで音楽をつくるDAWソフトの場合を考えてみる。
大抵のシーケンスソフトは、起動時の状態をテンプレートとして保存でき、新規プロジェクトを立ち上げると、毎回しなくてはいけない作業を減らすことができる。
自身の楽器がアコースティックギターの場合、レコーディングではラインとマイクの2本で録ることが多いので、ソフトが起ち上がったのと同時に、オーディオのモノラルトラックが2つあり、さらに録音待機状態になっていたら、手間が省ける。
更にリバーブやディレイも必ずかけるので、これらもテンプレートの中に含めておけば、作業数は随分減らせる。
こんなマニアックなものを例にとらずとも、同じことがコンピュータ自体にも言える。
macでもwindowsでも、起動と同時に自動的にたちあがるソフトを指定することができ、コンピュータを開いたら必ずブラウザを開く、メールもチェックする、スマホの同期もiTunesをとおして行う、というひとは、ブラウザ・メーラー・iTunesをスタートアップに登録しておけば便利だ。
しかし、だ。
実はこれにはデメリットもある。
それは、単純作業を忘れてしまうということだ。
簡単なことでも意外と忘れる
例えば上記シーケンスソフトの場合。
ほんの少しと思って侮っていると、本当にそのやり方を忘れてしまう。
これは、自身の経験もあるし、自分の周りにもそういった人が大勢いる。
もちろん、結局自動で起ち上がってくれるのだから、忘れても問題ない、という考え方もあり、それは正しいが、忘れてはまずいものも含まれている可能性があることは認識しておいたほうが良いだろう。
道を全く覚えていない
車の移動には、スマホのカーナビを使う。
渋滞情報を加味してナビしてくれるので、経路が分かっているところですらカーナビを使うことが多い。
ふと気づくと、道を全く覚えていない。
ナビの自動案内に頼りすぎて、記憶に残らないのだ。
これも結局ナビがあるから問題ないといえば問題ないのだが、自分としては、記憶をたどってできることは記憶をつかってやりたい。
これも、テンプレートの使いすぎで作業を忘れるのと同じ理屈だ。
便利さの影を認識すること
いろいろなものが自動化されて便利になっていくのは大賛成だ。
効率化してあまった時間を、より有意義な時間に充てるのは素晴らしいことに違いない。
しかし、あらゆることに光と影があるように、便利になりすぎて失うものもあることは認識しておくべきだ。