西暦1998年の事。
まだ20年も経っていない。
ミッション・ステートメントは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」
経営理念や社是・社訓、それからミッション・ステートメントで掲げたことを実現できる会社は少ない。
理想や目標は高く設定したいし、高くなればもちろん実現の難度は増すからだ。
しかし、Googleはこれを実現しているといっても過言ではない。
世界中の情報を整理する。
従来の考え方だと、それはジャンル分けや並び替え(sort)することだった。
しかし、複数のジャンルにまたがる情報はどうするのか。
世界にこれだけある言語の、どれを軸に並び替えをするのか。
情報の整理というのは、個人レベルでも世界レベルでも、結局同じ悩みにぶつかる。
Googleは、そこに検索(search)を加えた。
加えたというよりも、そこに重きを置いたと言っても良い。
sortからsearchへ。
結局ミッション・ステートメントにおける手段よりも、目的の方を重視したのだ。
情報を整理することではなく、アクセスできて使えるようにすること、だ。
乱暴な言い方をすれば、ユーザー目線で考えて、世界中の人々があらゆる情報に、より簡単に確実にアクセスできる方法であれば、なんだって良いのだ。
今ならば、検索ワードを入力してサイトを訪れるのは当たり前だが、Googleがまだ知れ渡っていない頃には、URLを本当に手打ちしていた。
そもそも、日本語でいう「検索」という言葉も、それまでにはあまり使う機会がなかった。
Eメールが普及して「添付」という言葉が知られるようになったのと近い。
世界中の人が、というところもポイントだ。
そこには経済的に恵まれてないひとも含まれる。
検索、地図、メール、ストレージなどのサービスをどれだけ使っても、だ。
(サービスによっては制限あり)
Googleが出現する前は、全てにお金が発生し、直接払うことだらけで、タダ(無料)ほど怖いものはない、という文句があったくらいだ。
ごくごく近所の地図も本屋で、もちろん有料で購入する必要があったし、はがきも安いとはいえ50円以上はかかる。
ストレージを現実に置き換えるのが難しいが、例えばレンタル創庫だとすれば、その月額は決して無視できる金額ではない。
どうやら、少なくとも日本でGoogleを使うのに経済的な問題が障壁になることはなさそうだ。
とはいえ世界中の人、まではまだ届いていない。
なんといってもまだ20年弱だ。
ペースとしては上出来すぎるくらい。
これからのGoogleに大いに期待したい。
そして、日本からもGoogleに負けないような、ワクワクするような会社が生み出されていくことを期待している。