クリエーター(作曲家)を目指している人は多くいます。
実際クリエーターの需要は結構あります。
アイドルやジャニーズなど、自分達で曲を作らないアーティストがい続ける限り、クリエーターの存在は、なくてはならないものです。
しかし、クリエーターを志す人によくある間違いがあるので、伝えておきます。
クリエーターは、「作曲」をする人です。
何を今更、、、と思うかもしれませんが、勘違いが本当に多い。
楽曲というのは、たくさんの過程を経て作品となります。
大きく分けると5段階。
・作曲/作詞
・編曲(アレンジとも言う)
・録音(レコーディングとも言う)
・トラックダウン(ミックスダウンとも言う)
・マスタリング
です。
各々にはそれぞれのプロフェッショナルがいるくらいなので、作業内容は全く異なります。
音楽業界にいない人に見えにくいのがトラックダウン、マスタリングですかね。
録音が終わったら、もう作品が出来上がると思っている人も多いのですが、とんでもない。
音楽業界でいうところのエンジニアは、ここで作業をする人です。
録音した各楽器の音を適切に処理し、各音のバランス等を整え、音圧を上げ、、、ということを延々やり続けます。
5分前後の曲に、プロのエンジニアでも10時間以上かかることなんてよくあることです。
さて話がそれましたが、作曲とはこの過程の一番最初です。
詳しく言えば、メロディーとコードです。
では、楽曲の構成(Aメロとかサビとか)は作曲なのか?
違います。それは編曲。
音の調整は?
それは上にも書いたとおりトラックダウンなので、エンジニアの仕事。
◆
最近のクリエーターは、DAWソフトというシーケンスソフトを使って作曲をすることがほとんどです。
このDAWソフト、発売されてから次々と機能が増えていき、いまや上に挙げた全行程をできる
ソフトになりました。
すると、作曲家も編曲家もエンジニアも同じDAWソフトを使うようになります。
ただ、使っている機能だけが違う、という状態です。
しかし、できるようになったからといって、エンジニア的な作業が作曲という行為になるかというと、そんなことはありません。
あくまで作曲はコードとメロディーです。
本来、DAWソフトを使わなくても、弾き語りをボイスレコーダーで録音したって作曲としては成立します。
つまり、音質調整など一切しなくてもいいはずなんです。
ところが、採用曲を選考するのは「人」です。
もし同じくらい良い曲が2曲残って、片方はDAWで「それなりの」アレンジが効いているし音も良い、もう片方は本当にコードとメロディーだけで音が悪い、となると、後者が選ばれる可能性が高いわけですね。
人は感情の生き物です。
勘違いが起きやすいのはここで、アレンジや音質にこだわることと、コードやメロディーにこだわることの優先度が同じになっている人が多いのです。
実際に曲を提出「される」、つまり選考する立場になることもある私は、提出者と直接話す時に、「ここの音質にはこだわった」「ここには特殊なエフェクトがかけてある」といったことをアピールする人が多くいます。
上記したように、現代では確かにそういった部分も「ある程度」はやらなくてはいけないので、こだわるのは悪いことではありません。
ただ、アレンジや音質にこだわったら曲自体の質が上がるかというと、そういうことはまずありません。あくまで選曲担当者が自然に聞けるくらいまでのレベルで十分なのです。
(そのレベル自体が結構上がっているのも事実ですが・・・)
デモ曲を大手のレコード会社にたくさん送っているのに、ちっとも声がかからないと嘆く人は多くいます。
もちろん狭き門なので、難しいのは当たり前です。
そんな時振り返ってほしいのは、コードとメロディーにどれだけのこだわりがあるか、ということです。
DAWソフトを手足のように使えること、それを駆使しまくった凝ったアレンジが効いていること、プロ御用達のプラグインエフェクトを使って、音質にこだわっている人。
それらは基本作曲とは無関係、と思っていてください。
採用担当者も、その道のプロです。曲本来の質を見抜く能力はとても高い。