音楽理論です。
音楽理論というワードがそもそも堅苦しくて、アレルギー反応を起こす人がいそうですね。
でも、音楽を学ぶ上で、理論は必須です。
なぜなら、それは「音」と「音楽」を分けるものだからです。
人がある音を聞いて「(雑)音」だと思うのか「音楽」だと思うのかは、理論に従っているかどうかによる、という意味ですね。
ただ、音楽理論も初歩的なものからマニアックなものまでいろいろあります。
巷の音楽理論書は、大は小を兼ねるという意図もあるのか、書き過ぎているものが多すぎる印象です。
巷で最も聞かれているJ-POPに必要な音楽理論に関しては、理論書の後ろの方に載っている知識はほぼ使いません。
ただし、初歩的な知識でも、それをどのように使うのか、というところは難しい。
J-POPが理論的には簡単でも、作曲するのが簡単とは到底言えません。
話がそれましたが、音楽理論の初歩の初歩、ドレミソラシドについて説明します。
上記したように、初歩の初歩であるこの知識も、ちゃんと理解することが大切です。
そもそもドレミファソラシド、というのは、「ド」から始まりますよね。
弾いてみたらわかりますが、明るい響きがします。
この音階(スケール)は「Cメジャースケール」と言います。
Cはドの英語名、メジャーは明るい、スケールが音階です。
つまり、「ドから始まる明るい音階」ですね。
音階の中でこれが最も有名な理由は、ピアノがCメジャースケールでできているからです。
ピアノの真ん中にあるドから順番に白鍵を登っていったら、Cメジャースケールです。
でも、このCメジャースケールって、各音の距離(インターバル)が実は違います。
ピアノで視覚的に眺めたら、白鍵は全部となり合わせなので、同じ距離に見えますが、音的な距離は実は違います。
(音的な距離というのは、つまり音の高さを数字で表した周波数的な距離という意味です)
距離は2種類、半音と全音です。
ピアノを眺めたらわかります。
ミとファの間、それからシと上のドの間には黒鍵がありません。
黒鍵がないところの隣り合わせた2音の距離は半音、それ以外は全音です。
つまり、
という距離になっています。
なんか面倒ですね。全部全音にしてしまえば良いのでは、と思うかもしれません。
で、当然そういう音階もあって、Cホールトーンスケール(ホールトーン:全音)と言います。
むりやりこれを弾いたら、
ド レ ミ ファ# ソ# ラ# ド
となります。
とても不思議な響きですが、Cメジャースケールに比べると耳馴染みが薄いと思います。
経験でそう思うのか、心理的な要因があるのかは私も知りませんが、つまり人は、上に書いたバラバラの距離で登っていく音階を聞いて「普通だなー」と思うようになっているんです。
これは、数字上バラバラでも、感情的にそれが普通だと思っちゃったので、それに合わせるしかありません。
ちなみに、ギターは黒鍵とか白鍵とかないので、フレットを移動して音階を登っていくときも、ピアノのようにはすんなりいきません。
1フレット=半音なので、ドからレに移動したいときは、2フレット移動、ミからファに移動したい時は、1フレット移動、となり、その距離を知っていないと、ピアノでいとも簡単に弾けるドレミファソラシドすら弾けないのです。
また、ピアノの場合も、ドから始まらない場合は当然黒鍵が出てきます。
だからピアノはCメジャーキー(=ハ長調)の曲が簡単だと言われるわけですね。
◆
ピアノに白鍵と黒鍵がある理由はもうおわかりですね。
グランドピアノだったら特に見やすいのですが、実はピアノの弦は横にズラーッと並んでいるだけで、黒鍵のところも白鍵のところも見分けがつきません。
Cメジャースケールが簡単に弾けるようにするための工夫が、白鍵と黒鍵の区別で、白鍵をのぼっていけば、Cメジャースケールのバラバラの距離を意識せずとも弾けるという仕組みになっているのです。
たかがドレミファソラシドですが、いろいろとあります。
音楽は感情に訴える音の集合なので、人が考えた数字や理屈にそぐわない点がいろいろと出てきます。
もちろん、感情の方を優先すべきなので、理論のほうが難しくなるわけです。
要するに、聞いて自然だ、きれいだ、と思うものを体系化しようとすると、こんなに複雑になっちゃう、ということなんですね。