私は、音楽業界でも楽曲自体を管理するような仕事がメインです。
私自身もライブに出たりギターやピアノを弾いたりしますが、これらは副業ですね。
楽曲の管理というのは、もちろん楽曲データの管理もありますが、クオリティーコントロールもあります。
というか、こっちが主たる業務です。
楽曲のクオリティーって何でしょうね。
音楽は、一人ひとりが好きな曲を聞けばよいだけです。
世間的にはあんまり人気がない曲でも私は好き、ということは多々あります。
こうなると、クオリティーってなんだろうってなるんですよね。
正直ふわっとしています。
ただ、明確な一つの基準はあります。
それは、大衆性、くだけた言い方をすれば、売れるかどうか、です。
私が楽曲のクオリティーを判断するときに、もっとも気をつけていること。
それは、自分の好みと大衆性をいかに切り離すか、です。
私だって一人の音楽ファンです。
音楽の好みがあります。
売れているアーティストであっても、私があまり好きではない、またはその逆。
こういうことは日常茶飯事です。
ただ、私の好みと大衆性が一致するかといえば、サザンやミスチルが好きなのである程度は一致するものの、完全には一致しません。
完全に一致するならば、私が嫌いなアーティストは売れないはずなんです。
要するに、好きじゃないけどクオリティーが高い、嫌いだけど売れそう、という判断があるということですね。
ポピュラーミュージックの作家になる人には、この感覚が不可欠です。
特に職業作家には必須です。
作家も人間なので、必ず音楽の好みがあります。
ただ、その好みを自身の曲に反映させすぎると、偏った曲ばかりになります。
好みではないけど売れている曲が、なぜ大衆性を獲得できているのか。
ここに大きな学びがあります。
これは、好きな曲を聞いて学ぶことよりも多い。
好きというのは感情なので、その理由を考える必要がありません。
一方、嫌いだけど大衆性がある場合は、その理由を考えざるを得ないです。
何が大衆の心をつかんでいるのか。
どちらの方が学びが多いかは明白です。
ポピュラーミュージックの職業作家を目指す人が聞くべき音楽。
それは自分の好きな音楽をより追求していくことではありません。
売れている音楽です。
プロの作家になるということは、自分がやりたい音楽を創るのではなく、人から求められる音楽を創るということです。