音楽を志す人はいつの世にも多いものです。
音楽といっても幅広くありますが、今回とりあげるのはバンドやアーティスト、つまり演者です。
音楽にはいろんな要素がありますが、音楽を志すということは、音楽で生計を立てるということとほぼ同義です。
少なくともPOPSの世界であれば、音楽で生計を立てるということは、自分たち演者の演奏や音源にお金を払ってくれる人がどのくらいいるか、が勝負です。
だから、いくら自分がこだわりをもって作った楽曲でも、それがリスナーの心に響かなければだめです。
しかも、できるだけ多くの人の心に響かなければ厳しいです。
では、どういった演者がそこに到達できるのか。
これまた、たくさんの要素がありますが、例えば
- 演奏スキルが高い
- 人気がある
- 見た目が良い
- 楽曲が良い
といったことがあげられますね。
見た目はさておき(?)、そして楽曲の良さはここで書き始めると膨大な文字数になるので今回は割愛して、演奏スキルと人気について考えてみます。
演奏スキルはどうやったらあがるのでしょうか。
はい、そうです。
練習するのです。
しかし、どれだけ練習してもいまいちスキルがあがらない人やバンドっていますよね。
もしかしてポテンシャルに問題があるのかもしれません。
しかし、私の経験においてその要素は比較的少ない。
ではなぜスキルが上がらないのか。
それは、場数が圧倒的に足りていないからです。
考えてもみてください。
自宅やスタジオで練習するときって、演奏するのにベストな状態になっていることに気づいているでしょうか。
メンバーの誰かが体調不良だと練習は延期するでしょうし、ちょっと間違ったら「もう1回最初からね」といって始める。
スピーカーからなる音を調整したかったら、自分たちでコンソールをいじって最適にすることもできます。
自分たちの思い通りの環境で演奏した演奏スキルは、果たしてその演者の演奏スキルを正当に表していると言えるでしょうか。
LIVEを想定してみます。
よほどひどい場合をのぞけば、体調不良くらいでLIVEを欠場することはできません。
一度演奏が始まったら、途中で間違えようがトラブろうが、演奏し続けないといけません。
コンソールは自分たちではいじれないし、なんらかの理由があってリハ時のモニターと全然違うバランスでモニターが返ってくることなんて日常茶飯事です。
当然ですが、これらはリスナー(この場合はオーディエンス)にとっては関係ない。
すべてその演者の責任とされます。
こういう環境での演奏こそが、まさにその演者の演奏スキルです。
演奏スキルは、LIVEを何度も経験するしかない、場数を踏むしかないのです。
もちろん、緊張してうまく演奏できないという問題を解消するのは、メンタルトレーニングでも自己啓発本でもなく、経験です。
それから、人気を獲得するためにはどうするか。
これは、どういった演奏や曲が人気が出るかを、やっていくなかで把握していくしかありません。
音楽の場合、売れる曲や演者に明確な法則がないからです。
これもつまり、LIVEです。
◆
繰り返しになりますが、練習をいくらやってもいまいちのスキルと集客、音源売上というバンドは結構います。
そんなバンドのなかに、もっと練習して納得いく演奏ができるようになったらLIVEに出よう、と思っている人たちもいます。
断言しますが、それではスキルは伸びない、もしくはかなりゆっくりとしか伸びません。
LIVEに出て緊張し、失敗し、ノルマを払って、身も心もずたずたになり、お金的にもマイナス、という状況から学ぶことは多くあります。
むしろ、その中からしか学べないことがほとんどと言っても良いくらいです。
演奏中に、オーディエンスの一人がなんとなくしたあくびで、どれだけへこむか。
ステージに立って演奏したものだけがわかる感覚です。
それを乗り越えていくことが演奏スキルを上げることにつながり、人気にもつながっていくのです。