非常に面白く読んでいます。
私の好きなノンフィクション作家である立花隆さん、佐々木俊尚さんに、山口周さんも加わること確定です。
本書の中では、「役に立つ」と「意味がある」という視点でビジネスやサービスを捉えています。
役に立つものは、グローバルでは勝者が全取りする。
一方意味があるものは、意味そのものが多用なため市場が豊かであり続ける、という捉え方です。
前者の代表は検索エンジンのGoogle、後者の代表はApple本社の椅子に採用されているマルニ木工です。
鋭い視点だと感じました。
インターネットの普及で情報分野での国境が実質なくなったと言える現代では、役に立つもので日本企業が世界一になるのは難しいかもしれません。
日本が強い、弱いということではなく、そもそも世界のトップ数社しか生き残れないから、難しいのが必然です。
私の仕事は音楽なので、音楽という分野からこの分析をしてみると、、、
音楽はそもそも役に立つ、立たない、というものではないと気づきました。
また、意味がある、むしろ意味しかない、と思いました。
言われてみたら当たり前ですが、音楽って必ず必要なものとは言えないはずです。
明日食べるものにも困っているのに、音楽を優先して欲するというのは変ですよね。
音楽を理解できるのは、動物の中でヒトだけということですが、生存のために必要なことを絶対に優先するヒト以外の動物にとって、音楽が不要なのは当然かもしれません。
意味がある市場が豊か、というのは、こと音楽業界の中にあてはめることもできると思います。
ミリオンセラーが出まくった1990年代後半、このときの商業音楽には、経済的に「役に立つ」ものだったでしょう。
時代変わって現代、CDはサブスクに取って代わられ、マージンで成り立っていた業務は淘汰されました。
今でも売上トップは経済的な成功と言えるくらいのお金が動きますが、それでも昔のトップとはまったくもって比になりません。
役に立つ(=経済的に成功する)音楽から、「意味がある」音楽へのシフトが進んでいるのが現代。
誰でもが自身の作品を世界に向けて発信できます。
そこには、自分で作りたいものをアウトプットした、という大切な意味がありますね。
音楽がビジネスになる前から、音楽はありました。
人類の歴史と音楽の歴史、各々の長さは誤差レベルしか違わないそうです。
つまり、人類がうまれた頃から音楽はそこにあったわけです。
音楽には、意味さえあれば成り立つ、という性質があるからでしょう。
加えて、音楽そのものは道具も不要、ゴミも出ないし環境も壊さない。
流行りのSDGsという観点からしても、最高の文化です。
音楽ってやっぱりすばらしい。
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ビジネス書や社会学の本を読んで、自分が置かれている環境にあてはめてみると、新たな視点で物事を捉えられますね。